退職金は、給料とはまったく別の計算で税金がかかります。
しかも優遇されています。同じ金額を給料でもらうより、税金がかなり軽くなります。
ただし1枚の書類を出し忘れると、20.42%を引かれます。そこだけは先に書いておきます。
計算式は3段階です
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額
国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき」(令和7年4月1日現在法令等)2026年8月26日確認
引いて、半分にする。この2つが効きます。
退職所得控除額
| 勤続年数 | 控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年) |
勤続年数の端数は1年に切り上げます。10年3か月なら11年です。
実際に計算してみます
| 勤続年数 | 控除額 | 退職金1,000万円の場合の退職所得 |
|---|---|---|
| 10年 | 400万円 | (1,000 − 400)× 1/2 = 300万円 |
| 20年 | 800万円 | (1,000 − 800)× 1/2 = 100万円 |
| 30年 | 1,500万円 | 控除額のほうが大きいので 0円 |
30年勤めた人が1,000万円もらっても、税金はかかりません。控除額のほうが大きいからです。
出し忘れると20.42%引かれる書類
「退職所得の受給に関する申告書」といいます。会社に出すものです。
| 出した場合 | 出さなかった場合 | |
|---|---|---|
| 源泉徴収 | 上の計算どおりに正しく引かれる | 支払金額の20.42%が引かれる |
| 確定申告 | 原則として不要 | 自分で確定申告して精算する |
出さなくても、確定申告すれば戻ってきます。ただ、戻るのは翌年です。その間、手元のお金が減ったままになります。
辞めるときの書類は多いです。この1枚だけは、名前を覚えておいてください。
勤続5年以下だと、半分にならないことがあります
「× 1/2」には例外が2つあります。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 短期退職手当等(勤続5年以下) | 控除額を引いた残りのうち、300万円を超える部分は1/2にならない |
| 特定役員退職手当等(役員等で勤続5年以下) | 1/2の計算そのものがない |
短期間で辞めて多額の退職金を受け取る形への手当てです。勤続5年以下で退職金が大きい人は、ここを確認してください。
辞めたあとの支出と合わせて考える
退職金は、辞めたあとに来る支払いの原資になります。
- 国民年金 月17,920円(令和8年度)
- 健康保険(任意継続か国民健康保険)
- 住民税(前年の所得にかかる)
よくある質問
- 退職金にはいくら税金がかかりますか?
-
勤続年数によります。20年勤めて1,000万円なら退職所得は100万円、30年勤めて1,000万円なら0円です。控除額が大きいので、思っているより軽くなります。
- 「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れました
-
支払金額の20.42%が源泉徴収されます。ただし確定申告をすれば精算されて戻ります。翌年になるので、資金繰りには気をつけてください。
- 勤続年数に端数があるとどうなりますか?
-
1年に切り上げます。10年1か月でも11年として計算します。
- 勤続5年以下でも優遇されますか?
-
控除は受けられますが、1/2の計算に制限があります。短期退職手当等では控除後の300万円を超える部分が1/2になりません。役員等の場合は1/2の計算そのものがありません。
- 退職金をもらうと、翌年の住民税や健康保険料が上がりますか?
-
退職所得は分離して課税される扱いです。ほかの所得と合算されないため、扱いが異なります。心配な場合は市区町村に確認してください。
まとめ
- 退職所得=(収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2
- 控除は20年以下なら40万円×年数、20年超なら800万円+70万円×(年数−20)
- 勤続年数の端数は1年に切り上げ
- 「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと20.42%引かれる
- 勤続5年以下は1/2の計算に制限がある
- 30年勤めて1,000万円なら、税金はかからない
退職金は、辞めるかどうかの判断材料のひとつです。手取りがいくらになるかは、勤続年数で先に計算できます。
この記事で確認した出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(令和7年4月1日現在法令等)2026年8月26日確認
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度 月額17,920円)2026年8月26日確認

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