副業を始めて最初に迷うのが、どこまで経費にしていいのかです。
家で作業しているなら、家賃も電気代もネット代も、少しは副業のために使っています。全部は無理でも、一部は入れていいはずです。
その「一部」の決め方に、ちゃんとルールがあります。国税庁の条文から順に見ていきます。
そもそも経費とは何か
国税庁の説明はこうです。
総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額、および、その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和7年4月1日現在法令等)2026年8月26日確認
ポイントはその収入を得るために使ったかどうかです。金額の大小ではありません。
支払った年とは限りません
もうひとつ大事な点があります。経費に入れる年はその年に債務が確定した金額で決まります。支払いが済んでいるかどうかは問いません。
- 12月31日までに債務が成立していること
- 給付すべき原因となる事実が発生していること
- 金額が合理的に算定できること
12月に頼んだ仕事の請求が1月に来た、という場合でも、条件を満たせば12月の経費になります。
家賃や電気代は「家事関連費」になります
自宅で副業をしている人の費用は、家事上と業務上の両方にかかわります。これを家事関連費といいます。
扱いは、はっきり決まっています。
取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られ
国税庁 タックスアンサー No.2210 2026年8月26日確認
条件は2つです。
- 取引の記録などに基づいていること
- 業務に必要だった部分を、明らかに区分できること
なんとなく半分、は通りません。区分の根拠を説明できる必要があります。
実務でよく使われる分け方
| 費用 | 分け方の例 | 根拠にするもの |
|---|---|---|
| 家賃 | 作業に使っている部屋の面積 ÷ 家全体の面積 | 間取り図、賃貸借契約書 |
| 電気代 | 作業時間 ÷ 24時間、または面積比 | 作業記録 |
| 通信費 | 副業に使った時間の割合 | 作業記録 |
| パソコン | 副業で使う割合 | 用途の記録 |
どれも記録が根拠になります。作業時間を残していない人は、面積のように動かない基準を使うほうが説明しやすいです。
「みんな50%にしてる」は根拠になりません。自分の家の数字で説明できることが要ります。
副業でよく出てくる経費
- サーバー代・ドメイン代 — 副業に使っている分
- 有料テーマ・プラグイン — 業務で使うもの
- 通信費 — 按分が必要
- 書籍・資料 — 業務に必要なもの
- 取材や打ち合わせの交通費
- 会計ソフトの利用料
サーバー代のように副業でしか使っていないものは、按分の必要がありません。全額です。ここは迷わなくていいところです。
記録は初日からつけてください
経費の証明は、あとから作れません。
そして帳簿は、事業所得か雑所得かの判定にも効きます。帳簿書類の保存がなければ、原則として雑所得になります。詳しくは開業届と青色申告の記事に書きました。
封筒でも箱でも構いません。月ごとに分けておくと、あとが楽です。
会計ソフトでも表計算でもいいです。この4つがあれば、あとから形にできます。
家賃なら面積、通信費なら時間。年の途中で変えると説明が難しくなります。
よくある質問
- 家賃は何割まで経費にできますか?
-
決まった割合はありません。業務に必要だった部分を明らかに区分できる金額に限られます。作業部屋の面積比のように、説明できる基準で決めてください。
- レシートがない支払いはどうなりますか?
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支払った事実を示すものが必要です。クレジットカードの明細や通帳の記録が代わりになる場合があります。金額と内容をメモに残しておいてください。
- 家賃を按分したら、会社に副業が知られますか?
-
経費の内訳が会社に伝わることはありません。知られる経路は住民税です。別記事に書いています。
- 12月に注文して1月に払ったものは、どちらの年の経費ですか?
-
その年に債務が確定していれば12月です。12月31日までに債務が成立し、原因となる事実が発生し、金額が合理的に算定できることが条件です。
- 副業でしか使わないパソコンは全額経費にできますか?
-
副業専用なら按分は不要です。ただし取得価額によっては、その年に全額を経費にできず減価償却になります。金額が大きい場合は税理士に確認してください。
まとめ
- 経費はその収入を得るために使ったかどうかで決まる
- 計上する年は「債務が確定した年」。支払い済みかどうかではない
- 自宅の費用は家事関連費。業務に必要な部分を明らかに区分できる金額だけ
- 按分は記録が根拠。なんとなく半分は通らない
- 副業でしか使わないものは按分不要で全額
- 帳簿の保存は、事業所得か雑所得かの判定にも効く
目的は使った分を、説明できる形で残すことです。経費を増やすことではありません。
この記事で確認した出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和7年4月1日現在法令等。根拠法令 所法37、45、51、56、57、70、所令96)2026年8月26日確認

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