「副業がバレるとしたら住民税から」。これはあちこちに書いてあります。合っています。わたしもそう思います。
ただ、その住民税の仕組みが、2025年度から2026年度にかけて2つ変わりました。片方はバレにくくなる方向、もう片方はバレやすくなる方向です。
調べていて、正直あせりました。古い前提のまま書かれた記事がまだ大量に残っているからです。順番に書きます。
- 副業がアルバイトなど「給与」なら、副業分だけを自分で納付にはできません。2025〜2026年度から、そもそも選べなくなりました
- 会社に届く通知書からは、所得や控除の内訳が消えました。ただし税額そのものは載ります
- マイナンバーでバレることはありません。これは県の公式回答があります
副業が会社に知られる経路は3つあります
ひとつずつ見ていきます。ほとんどが1つ目です。
① 住民税の金額(いちばん多い)
会社は毎年6月ごろ、市区町村から「特別徴収税額決定通知書」を受け取ります。そこに書かれた税額をもとに、毎月の給料から住民税を天引きします。
副業で所得が増えると、その税額が、会社が払っている給料から計算されるはずの金額より大きくなります。ここで気づかれます。
② 自分で出した情報から特定される
ブログやSNSに書いた勤務先の話、写真の背景、プロフィールの経歴。あとで説明しますが、いちばん見落とされるのはURLです。
③ 人づてに伝わる
同僚に話したら広まった、というやつです。これは対策のしようがありません。話さないことです。
わたしは誰にも言っていません。言いたくなる瞬間は何度もありましたけど。
【変更1】副業がアルバイトなら、もう「自分で納付」は選べません
確定申告書の第二表に「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄があります。ここで「自分で納付」を選べば、副業分の住民税だけを自分で払える。よくそう説明されています。
ここに落とし穴があります。欄の名前をよく読んでください。「給与、公的年金等以外の所得」と書いてあります。
つまり、副業がアルバイトやパートのように給与としてお金を受け取る形なら、この欄は関係ありません。給与の住民税は、全部まとめて本業の給料から引かれます。
| 副業の形 | 所得の種類 | 「自分で納付」を選べるか |
|---|---|---|
| アルバイト・パート | 給与所得 | 選べない |
| ブログ・アフィリエイト | 雑所得または事業所得 | 選べる |
| せどり・物販 | 雑所得または事業所得 | 選べる |
| Web制作などの受託 | 雑所得または事業所得 | 選べる |
| 不動産の賃貸 | 不動産所得 | 選べる |
根拠は地方税法第321条の3第1項です。「前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額は、特別徴収の方法によって徴収するものとする」と書かれています。給与所得を特別徴収と普通徴収に分ける規定が、そもそもありません。
以前は自治体の運用で副業分を分けられることがありました。それが揃えられた形です。開始年度は自治体によって違います。埼玉県朝霞市は令和7年度から、東京都中野区は令和8年度からと案内しています。お住まいの自治体のページを確認してください。
ここを勘違いしたまま「自分で納付にすればバレない」と書いてある記事、まだたくさんあります。
【変更2】会社に届く通知書から、所得の内訳が消えました
これはバレにくくなる方向の変更です。
市区町村が会社に送る「特別徴収義務者用」の税額通知書には、給与から差し引く税額しか書かれていません。所得の種類も、金額も、控除の内訳も載らなくなりました。中野区は「副業の存在が主たる給与先に知られない設計です」と説明しています。
ただし、税額そのものは載ります。ここは正直に書きます。経理の人が本業の給料から計算される税額とつき合わせれば、多いことには気づけます。
内訳がわからないので「何かある」までしかわかりません。でもゼロではない。そこは期待しすぎないでください。
では、実際にどうすればいいのか
ブログ、アフィリエイト、せどり、受託。これらは雑所得か事業所得になります。アルバイトを掛け持ちするより、住民税の面では都合がいいです。
第二表の「住民税に関する事項」にあります。ここを空欄にすると特別徴収になります。中野区は、申告した所得がマイナスの場合や控除が大きい場合には、選んでも特別徴収になることがあると案内しています。
所得税の確定申告が不要でも、住民税は別の手続きです。芦屋市は「給与以外の収入がある場合は、収入の多少に関わらず申告が必要です」と書いています。ここを飛ばすと、あとで自治体から連絡が来ます。
「マイナンバーでバレる」は正しくありません
これは公式の回答があります。徳島県庁は「マイナンバー制度の導入により副業を行っている事実が新たに判明するものではありません」と答えています。
ただし同じ回答の中で、特別徴収税額の決定通知書を通じて判明する可能性には触れています。つまり経路は住民税であって、マイナンバーではない。この区別は大事です。
マイナンバーのせいにしても、対策が1つも出てきません。住民税の話だと分かれば、やることが決まります。
住民税以外の経路は、自分で防げます
ここからは運用の話です。手続きの話は上で終わりました。わたし自身がこのサイトを匿名でやっているので、実際にやっていることを書きます。
- 本名は使わない。ペンネームで通す
- 顔は出さない。プロフィール画像はイラストかアイコンにする
- 勤務先が特定できる話は書かない。業種までにとどめる
- 私用のSNSと、副業用のアカウントを分ける
- 会社のパソコンと会社の回線は絶対に使わない
いちばん見落とされるのが、URLに残る本名です
WordPressでブログを作った人は、ここを必ず見てください。WordPressの「名前」は4つあります。
| 項目 | どこに出るか | あとから変えられるか |
|---|---|---|
| ユーザー名(ログインID) | 表には出ない | 変えられない |
| ニックネーム | 設定用 | 変えられる |
| ブログ上の表示名 | 記事の著者名 | 変えられる |
| ユーザーのスラッグ | 著者ページのURL | 変えられる |
問題は最後の1つです。インストールのときに本名でユーザーを作ると、表示名をペンネームに変えても、著者ページのURLには本名が残ります。
わたしのサイトもそうなっていました。表示名を変えて安心していたら、著者ページのアドレスに前の名前がそのまま残っていた。気づいたのは2026年8月26日です。記事が1本しかない段階だったので直せました。
確認は簡単です。管理画面の「ユーザー」を開いて、自分の名前にマウスを乗せると、下にURLが出ます。そこに本名が入っていないか見てください。
- ユーザー → プロフィール で「ブログ上の表示名」を確認する
- ユーザー一覧で自分の行にマウスを乗せ、URLに本名が入っていないか見る
- 入っていたら、記事が少ないうちに変える。あとからだと著者ページのURLが変わって404になる
- ドメインを取るときは、Whois情報公開代行を必ず有効にする
そもそも副業は禁止されているのか
副業そのものを禁止する法律はありません。民間企業の場合、決めているのは就業規則です。
厚生労働省のモデル就業規則は、平成30年1月に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という条文を削除し、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という定めに変わりました。国が示している見本が、認める方向に切り替わっています。
そのうえで、会社が制限できる場合として次の4つが挙げられています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
公務員は話が別です。国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条で制限されていて、許可が必要です。ここは就業規則ではなく法律なので、勝手に始めないでください。
よくある質問
- 副業分の住民税だけを自分で払えば、絶対にバレませんか?
-
絶対とは言えません。事業所得や雑所得なら「自分で納付」を選べますが、申告した所得がマイナスの場合や控除が大きい場合には、選んでも特別徴収になることがあると中野区は案内しています。
- 会社に届く通知書に、副業の会社名は載りますか?
-
載りません。「特別徴収義務者用」の通知書には給与から差し引く税額しか記載されていません。所得の種類も控除の内訳も載らなくなりました。
- 副業がアルバイトの場合、打つ手はないのですか?
-
住民税の面では分けられません。給与でない形、たとえばブログや受託の仕事に切り替えると、そこは選べるようになります。
- 所得が20万円以下なら、住民税の申告もいりませんか?
-
必要です。所得税の確定申告が不要になるだけで、住民税は別の手続きです。金額に関係なく、お住まいの自治体に申告します。
- 会社に許可をもらってから始めるべきですか?
-
就業規則で申請が必要なら、そうしてください。厚生労働省のモデル就業規則も、届出を前提にした書き方になっています。公務員は許可が必須です。
- すでに何年か申告していません。どうすればいいですか?
-
早めに申告してください。放っておくと延滞税や加算税がつきます。金額が大きい場合や事情が複雑な場合は、税理士に相談したほうが確実です。
まとめ
- 副業がバレる経路は、ほとんどが住民税
- 副業が給与(アルバイト等)なら、副業分だけを自分で納付にはできない。2025〜2026年度から選べなくなった
- 事業所得・雑所得なら、確定申告書の第二表で「自分で納付」を選べる
- 会社に届く通知書から所得の内訳は消えた。ただし税額は載る
- マイナンバーでバレることはない。経路は住民税
- 住民税以外は自分で防げる。とくにURLに残る本名に注意
制度の話は、調べれば分かります。調べないで人の記事を鵜呑みにすると、今回のように2年前の正解を今年の正解だと思い込みます。
わたしはそれで40万円を失ったことがあります。だからここでは、確認した日と出典を必ず書いています。
この記事で確認した出典
- 国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(令和7年4月1日現在法令等)2026年8月26日確認
- 芦屋市「給与所得以外の所得が20万円以下の場合、住民税の申告は必要ですか。」2026年8月26日確認
- 朝霞市「給与所得が複数ある場合の住民税の特別徴収の徹底(令和7年度以降)」2026年8月26日確認
- 中野区「給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」(2025年4月23日更新)2026年8月26日確認
- 徳島県庁コールセンター「マイナンバー制度で副業が会社にばれてしまうというのは本当ですか。」2026年8月26日確認
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」およびモデル就業規則 2026年8月26日確認
- 人事院・内閣人事局「国家公務員の兼業について」、総務省「地方公務員の兼業について」 2026年8月26日確認

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