ハイクラス向け転職エージェントの比較記事は、求人数の多い順に並んでいるものが多い。採用でエージェントに1人60万〜100万円の手数料を払っていた僕が先に見るのは、そこじゃない。対応する年収帯を、公式サイトに数字で書いているか。ここに各社の性格が出る。
うちの契約は理論年収の35%だった。この料率で年収800万円の人を採用すると、手数料は280万円になる。会社はこの金額の採用を外せない。エージェントは外すと次の依頼を失う。だから年収800万円を超えたあたりから、エージェントは応募者を集める商売から、紹介する相手を選ぶ商売に変わる。あなたが選ぶと同時に、選ばれている。
この記事では、うちが提携している4社(外資・コンサル・M&A・金融)の特化領域と年収の数字を、公式サイトの記載だけで並べた。順位は付けない。行きたい業界で決まるから。年収の数字は、公式サイトに書いてあるものだけを載せた。確認日は2026年8月31日。
| サービス | 特化領域 | 年収の数字(公式) | 面談・サポート | 公式 |
|---|---|---|---|---|
| Samurai Job | 外資・グローバル・ハイクラス | 700万〜2,000万円(対応する年収帯) | 面談後に非公開求人を紹介。求人の半数が非公開 | 公式サイト |
| NewMA | DX・戦略・AIコンサル | 600万〜2,500万円(求人例の幅) | 両面型。内定後・入社後もフォロー | 公式サイト |
| M&A BEGINNERS | M&A業界(未経験から) | 2,500万円以上の求人を保有と記載 | 面接対策は平均5.2回。入社後の無料サポート | 公式サイト |
| コトラ | 金融・コンサル・経営幹部・IT/DX | 求人例に1,200万〜2,500万円(PE投資・VC等) | 登録後に面談(平日夜間・土曜も、オンラインか電話)。求人の約8割が非公開 | 公式サイト |
※ 広告を含みます。年収・実績の数字は各社の公式サイトの記載(2026年8月31日確認)で、時期により変わります。「第1位」「書類通過率」の類いは各社の自社表記です。利用者アンケート(募集中)が集まり次第、実際の年収の上げ幅と面談の中身の集計に差し替える。
※ ハイクラス帯の候補は提携先に5社ありましたが、HR CAREER AGENT(人材業界特化)とThe Beyond Border(留学経験者専門)は、対応する年収帯の数字が公式サイトに無かったため、この記事から外した。2社の中身は特化型エージェント10社の採点にあります。
年収800万円を超えると、選ぶ側と選ばれる側が入れ替わる
求人サイトで検索しても、年収800万円を超える求人はあまり出てこない。なぜか? エージェントの報酬は成功報酬で、決まった人の理論年収に料率を掛ける仕組みだから。手数料が大きい採用ほど、会社は失敗できない。エージェントは外すと信用を失う。この構造が、求職者から見える景色を3つ変える。
- 求人が非公開に寄る — Samurai Jobは「求人の半数は非公開」と公式に書いている。役員・幹部ポジション、新規事業の立ち上げ、IPO関連。戦略上、検索結果に出せない求人
- 面談が入り口になる — 非公開求人は、コンサルタントと面談した人にだけ紹介される(Samurai Jobの公式記載)。登録して求人を眺めてから会う、という順番が逆になる
- 断られることがある — 「ご経験・ご希望によっては、ご紹介できる求人がなく、当社でのサポートが難しい場合もございます」。これも公式サイトの文章。エージェント側も求職者を見ている
断られたら自分の評価が低いのか? そうとは限らない。その会社の対象から外れていただけで、隣の特化型では真ん中の客だったりする。だから僕は、対応する年収帯を数字で書いている会社を上に見る。数字を書くのは、断る基準を先に公開しているのと同じ。申し込む前に、自分が対象かどうかを自分で判定できる。
総合型の大手にもハイクラス部門はある。それでも業界特化の小さいエージェントを足す意味は何か? 特化型は、その業界の会社と深く付き合っている。採用側のうちに来ていたのも、条件に合う人だけを送ってくる特化型だった。面接に呼ぶ率が高いのはいつもそちら。手数料の仕組みは採用側が面接で最初に見る3つに書きました。
手数料を払う側の実感。金額が大きい採用ほど、エージェントには「数を送る」より「外さない」を頼んでいた。
4社の年収帯と特化の中身。公式サイトで確認できたことだけ
1社ずつ、公式サイトにある年収の数字・できること・注意点・向いている人・4項目の点数を並べる。点数は公式サイトの記載の有無で付けた僕の採点で、利用体験の評価とは別物。ボタンの先は各社の公式サイト(広告リンク)です。
Samurai Job|外資・グローバル。年収700万〜2,000万円と明記
外資系・グローバル・ハイクラスに特化した転職支援サービス。公式サイトは対象を年収700万〜2,000万円、30代・40代を中心に課長・マネージャーから部長・役員クラスの管理職・技術職/専門職と明記。転職支援30年超・東証プライム上場の株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(JAC)と、ムーンコミュニケーションズ・エンタープライゼス社の共同運営です。
- 対応する年収帯(700万〜2,000万円)と対象の職位(課長〜役員)が数字で公式にある
- 求人の半数は非公開で、コンサルタントと面談した人にだけ紹介すると明記
- 転職成功事例に年収の実額(700万→800万円、950万→1,000万円、900万→1,200万円)が載っている
- JACの会社概要・東証プライム上場・厚生労働大臣の許可番号(13-ユ-010227)・全国13拠点まで公式にある
こんな人に向く:課長以上の30〜40代で、外資・グローバルの非公開求人まで見たい人
料金:無料(求職者の費用負担なし。費用は採用する会社が払います)
| 対応年収帯の明記 | ★★★★★ 5.0 |
|---|---|
| 特化領域の具体性 | ★★★★★ 5.0 |
| 面談・サポートの中身 | ★★★★☆ 4.0 |
| 情報の透明さ | ★★★★★ 5.0 |
「紹介できる求人がない場合もある」と注意事項に書く会社を、どう読むか? 僕は信用の根拠に数える。断る可能性を先に書くのは、送る人を選んでいる証拠。選んで送られてきた人は、採用側での書類の通りが良かった。書類選考・面接の結果を原則24時間以内に知らせる約束も公式にある。連絡の速さは、在職中に動く人ほど効く。
NewMA|DX・戦略・AIコンサル。求人例の年収は600万〜2,500万円
DX・戦略・AIコンサル領域に特化した転職支援。公式サイトには求人例が3件、年収の幅つきで載っている。上場準備中企業のAIコンサルタント(600万〜1,200万円)、大手上場ファームの戦略/BisDevコンサルタント(1,000万〜2,500万円)、外資系大手ファームのDXコンサルタント(700万〜1,500万円・コンサル未経験相談可)。運営はNewMA株式会社(大阪市北区中之島)。
- 求人例の年収が「1,000万〜2,500万円」のように幅の実額で公開されている
- 求職者と採用企業を同じエージェントが両方担当すると明記(いわゆる両面型)
- 書類・面接対策に加えて、内定後・入社後のフォローまで公式に書いてある
- 会社名・所在地・代表の経歴・厚生労働大臣の許可番号(27-ユ-304092)が公式にある
こんな人に向く:戦略・DX・AIコンサルへ移りたい人。年収1,000万円台の求人票を面談で見たい人
料金:無料(求職者の費用負担なし。費用は採用する会社が払います)
| 対応年収帯の明記 | ★★★★☆ 4.0 |
|---|---|
| 特化領域の具体性 | ★★★★★ 5.0 |
| 面談・サポートの中身 | ★★★★☆ 4.0 |
| 情報の透明さ | ★★★★☆ 4.0 |
両面型がなぜ効くのか? 採用側から見ると、話が速いから。求職者の担当と企業の担当が別だと、年収交渉が伝言ゲームになって1週間溶ける。同じ人がうちに来て条件を詰めるときは、1往復で決まった。内定後まで担当が変わらない設計は、交渉の場面でそのまま効く。
M&A BEGINNERS|未経験からM&A業界。年収2,500万円以上の求人と記載
M&A業界に特化した、未経験者向けの転職エージェント。公式サイトは「年収2,500万以上の厳選求人を多数保有」と書き、転職支援実績には前職と現職の年収が実額で載っている。専門商社(530万円)→M&Aアドバイザー2,200万円、国家公務員(600万円)→1,700万円、外資系ITセールス(860万円)→4,000万円。いずれも入社2年目の年収と注記あり。運営は株式会社ZEROGRA。
- 扱う求人の年収を「2,500万円以上」と実額で書いている
- 面接対策は平均5.2回。実際の面接で聞かれた質問をもとに練習すると明記
- 転職支援実績が、前職の年収→現職の年収の形で公開されている
- 入社後も現役M&Aコンサルタントの無料サポートがあると明記
こんな人に向く:年収の上げ幅を最優先にして、財務・法務が絡む選考の準備に回数をかけられる人
料金:無料(求職者の費用負担なし。費用は採用する会社が払います)
| 対応年収帯の明記 | ★★★☆☆ 3.0 |
|---|---|
| 特化領域の具体性 | ★★★★★ 5.0 |
| 面談・サポートの中身 | ★★★★☆ 4.0 |
| 情報の透明さ | ★★☆☆☆ 2.0 |
4,000万円という数字に「入社2年目です」と注記を付けるのは、実は誠実な書き方。M&A仲介の年収は成果報酬で跳ねるので、1年目の固定給とは別物だ。内定を出す側では、初年度の条件の認識ずれが一番もめた。では面談で最初に何を聞くか? 1年目の固定給と歩合の割合。ここを濁す相手なら、僕は引き返す。
コトラ|金融・コンサル・経営幹部。掲載求人37,589件、約8割が非公開
金融、コンサル、経営幹部・エグゼクティブ、IT/DXエンジニア、製造業の転職を支援するハイクラス向けのエージェント。公式サイトは掲載求人数を37,589件(2026年9月1日更新)、取り扱うハイクラス求人の約8割が非公開と明記。おすすめ求人にはPE投資会社の投資担当(1,200万〜1,600万円)、ベンチャーキャピタルのファンド立ち上げ(1,000万〜2,500万円)のように年収の幅つきで載っている。面談は登録後、平日夜間や土曜にオンラインか電話で、と公式に書いてある。
- 掲載求人37,589件と、非公開が約8割という数字を公式に出している
- 領域を金融・コンサル・経営幹部・IT/DX・製造業と明記し、職種の一覧が業界ごとに細かい
- 面談が平日夜間・土曜でも受けられると明記。在職中に動きやすい
- 費用は無料で、採用企業から紹介手数料を受け取る仕組みまで公式に説明している
こんな人に向く:金融かコンサルの経験があり、非公開8割の求人を面談で出してほしい30〜50代
料金:無料(求職者の費用負担なし。費用は採用する会社が払います)
| 対応年収帯の明記 | ★★★☆☆ 3.0 |
|---|---|
| 特化領域の具体性 | ★★★★★ 5.0 |
| 面談・サポートの中身 | ★★★★☆ 4.0 |
| 情報の透明さ | ★★★★☆ 4.0 |
採用側の話を一つ。金融・コンサルの中途は、僕がいた会社では扱いがなかった領域で、ここだけは自分の経験で語れない。代わりに公式サイトの数字で見ると、37,589件のうち8割が非公開ということは、検索で見えるのは2割。この領域で「求人を見てから登録するか決める」は成り立たない。面談が入り口で、平日夜と土曜に受けられるのは在職中の人向けの設計だと思う。
登録する前に見る5つ
エージェントに発注する側が契約前に確認していた項目を、求職者向けに置き換えた。公式サイトを5分読めば全部確認できる。
- 対応する年収帯 — 数字があるか。4社では Samurai Jobだけが「700万〜2,000万円」の形で明記している
- 厚生労働大臣の許可番号 — 有料職業紹介は許可制。Samurai Job(JAC 13-ユ-010227)とNewMA(27-ユ-304092)は公式にあり、M&A BEGINNERSとコトラは今回読んだページから確認できなかった
- 非公開求人の出し方 — 「面談後に紹介」と書いてあるか。書いてあれば、登録だけで求人一覧は見られない前提で動く
- 年収の数字の注記 — 「入社2年目」「求人例」など、数字に付いた条件まで読む。注記のある会社のほうが、数字は信用できる
- 断りの条件 — 「紹介できない場合がある」と書く会社は、対象を絞っている。断られても対象の外だっただけ
年収800万円からの転職は、動くお金も大きい。退職金を受け取ってから移る人は退職金の税金を先に。書類1枚で手取りが変わる。選考が長引いたときの生活費は辞める前にいくら貯めるかで計算できます。
目的別に選ぶなら
4社は領域が分かれている。行きたい業界は決まっていますか? 決まっていれば、選ぶのは1社で足りる。
- 外資・グローバルで、いまの職位を上げる → Samurai Job(年収700万円以上・30〜40代)
- DX・戦略・AIコンサルへ移る → NewMA(コンサル未経験の相談も可)
- M&A業界で年収の上げ幅を取りに行く → M&A BEGINNERS(未経験から)
- 金融・コンサル・経営幹部で、非公開8割の求人を面談で見たい → コトラ(平日夜・土曜の面談)
- 年収800万円にまだ届いていない、業界も決めていない → 特化型エージェント10社の採点から
よくある質問
- 年収800万円に届いていなくても使えますか
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Samurai Jobは対象を年収700万円からと明記しています。NewMAの求人例には600万円からの幅もある。M&A BEGINNERSは未経験からが前提で、現在の年収の条件は公式に書いていません。届かない場合は、特化型10社の記事のほうが選びやすいはずです。
- 利用にお金はかかりますか
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かかりません。費用は採用した会社が成功報酬で払います。僕が払っていた側でした。手数料の仕組みと相場は、採用側が面接で最初に見る3つの記事に書いています。
- 非公開求人には何がありますか
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Samurai Jobの公式サイトは、役員・幹部ポジション、新規事業の立ち上げや極秘プロジェクト、IPO関連の求人を挙げています。公開すると社内や競合に動きが知られる求人で、面談した人にだけ紹介される仕組みです。
- 登録したのに断られました。評価が低いのでしょうか
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その会社の対象から外れていただけ、という場合が多い。Samurai Jobは「紹介できる求人がない場合もある」と公式に書いています。特化型は対象を絞ることで成立しているので、断られたら別の特化型か総合型の窓口へ。
- 年収交渉は任せられますか
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NewMAは交渉力に自信があると公式に書き、内定後のフォローまで明記しています。採用側の実感でも、条件のすり合わせはエージェント経由のほうが決裂しにくかった。希望額の根拠を面談で先に渡しておくと、交渉は速く進みます。
- この点数は利用した感想ですか
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違います。各社の公式サイトに書いてある情報を、記載の有無で採点したものです。利用者アンケート(募集中)が集まり次第、実際の年収の上げ幅と面談の中身の集計に差し替える。
まとめ
年収800万円からの転職は、選ばれる準備をした人から順に、非公開の求人が回ってくる世界。手数料を払う側で見てきた景色はそうだった。
- 対応する年収帯を明記しているのはSamurai Job(700万〜2,000万円・課長〜役員)
- NewMAは求人例の年収幅(600万〜2,500万円)と両面型・入社後フォローが公式にある
- M&A BEGINNERSの実績年収は入社2年目の数字。1年目の固定給は面談で聞く
- コトラは掲載求人37,589件・非公開約8割。年収帯は求人例(1,200万〜2,500万円)で見る
- 求人の半数が非公開の世界では、面談が入り口。登録して待つ順番は逆
- 断られたら対象の外だっただけ。別の特化型か、10社の記事から選び直す
- 未経験歓迎なのに落ちる。その1行は法律のために書かれている
- 有給が40日になるのは勤続7年6か月から。それ以上は増えない
- 人材業界の転職難易度。1人60万円払う側から見た3つ
- キャリアコーチングが意味ない人は3つ。面接した側から
※ 広告を含みます。登録・利用は無料。この記事の採用側の話は、僕が採用責任者としてエージェントに手数料を払っていた経験に基づくもので、すべての会社・エージェントに当てはまるとは限りません。手数料の料率(理論年収の35%)は当時のうちの契約の数字です。
この記事で確認した資料
各社の情報は2026年8月31日に、Samurai Job・NewMA・M&A BEGINNERSの公式サイト(申し込みページ)で確認した。対象から外した2社(HR CAREER AGENT・The Beyond Border)も同日に公式サイトを確認しています。年収・実績・満足度の数字はいずれも各社の公式サイトの記載で、第三者の調査による裏取りはしていません。時期により各社の条件は変わります。
