採用担当の転職先は5つ。500人面接した側から書く

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採用担当の経験は潰しが効かない。そう言われることがある。では、実際に人事を採る側は何を見ているのか? 僕は採用担当を2年やって、新卒と中途の両方を書類から最終面接まで見た。面接した人数は、覚えていないけれど500人くらい。そのあいだ、エージェント経由で採るたびに1人60万〜100万円を払っていた。

つまり僕は、人材業界のサービスを買っていた側だ。売る側の記事は多い。買う側から書いたものは少ない。この記事は、採用担当の経験がどこで値段になって、どこで値段にならないかを5つに分けて書く。

※ 広告を含みます。法令は e-Gov 法令検索の原文を2026年9月9日に確認しました。個別の労働条件や契約の判断は、労働局・ハローワーク・専門家にご確認ください。

先に結論。採用担当の転職先は、買い手が誰かで5つに割れる。

  1. 事業会社の人事 — 同じ仕事を、違う会社で。いちばん多い
  2. 人材紹介・人材業界 — 買う側から売る側へ回る
  3. HR SaaS・HR Techの営業/カスタマーサクセス — 人事の言葉が分かる営業として
  4. 採用代行(RPO)・人事コンサル — 採用の実務ごと請け負う
  5. 人事の外(広報・経営企画・組織開発) — 人を見る仕事の延長として

順番は「求人の多さ」ではない。自分の経験が、いちばん高く売れる順に並べた。理由を1つずつ書く。

目次

その前に。採用担当の何が商品になるのか

人事の求人票には「採用業務経験3年以上」とだけ書いてあることが多い。あれは、書く側が手を抜いているわけではない(求人票の欄そのものの読み方は求人票に2024年から増えた3つに書きました)。年数以外に共通の物差しが無いからだ。だから面接で、別のところを見る。

僕が人事を採るときに見ていたのは3つだった。

  • 決裁のどこにいたか — 母集団を集めていたのか、合否を決めていたのか、採用計画の数字を作っていたのか
  • いくら動かしていたか — 採用予算、エージェント手数料、媒体費。金額を言えるか
  • 辞めた人を知っているか — 採った人が1年後どうなったかを、追いかけていたか

3つめが、いちばん差が出る。採用は「入社まで」で終わる仕事に見える。でも、採った人が半年で辞めたら、その採用は失敗だ。歩留まりと定着を数字で言える人は、面接で一気に強くなる。逆に「何人採りました」しか言えないと、母集団形成の担当だったのだと読まれる。

これは意地悪で見ているのではない。人事を1人採ると、その人が次の採用の質を決める。だから慎重になる。あなたは、採った人のその後を追いかけているか?

① 事業会社の人事 — 同じ仕事を、違う会社で

いちばん求人が多く、いちばん通りやすい。ただし、通りやすさと年収は別だ。

採用担当の年収は、会社の規模より、採用の難易度で決まるところがある。エンジニアを毎年何十人も採る会社と、事務職を年に数人採る会社では、同じ「採用担当」でも値段が違う。前者は、採れないと事業が止まるからだ。

移る先評価されやすい経験詰まりやすいところ
同業・同規模そのまま横移動。即戦力として通る年収がほぼ変わらない
同業・より大きい会社母集団の作り方、媒体運用分業が進んでいて、担当範囲が狭くなる
異業種・スタートアップ1人で全部回した経験、制度をゼロから作った経験採用以外(労務・評価制度)も求められる
外資系英語、データで語れること採用責任者の下の実務担当として入ることが多い

スタートアップへ移るときだけ、見られるものが変わる。「無いものを作った経験」が要る。採用フローが無い、評価制度が無い、求人票のテンプレートも無い。そこで手が止まらない人かどうかを見られる。前職で整った仕組みの上を走っていただけだと、ここで落ちる。

② 人材紹介・人材業界 — 買う側から売る側へ

採用担当からいちばん自然に見える転身先。そして、いちばん誤解されている。

僕はエージェントの営業と何百回も会った。彼らの仕事は、求職者を紹介することで終わらない(エージェント経由の応募が企業にどう届くかは採用側が最初に見る3つに書きました)。企業に「この人を採ると、いくら得か」を売ることだ。採用担当だった人がここで強いのは、企業側が何に困っているかを知っているから。逆に弱いのは、営業目標を持った経験が無いことだ。

手数料の仕組みを、条文から確認しておく。ここを知らずに面接に行くと、話が浅くなる。

職業安定法32条の3。有料職業紹介事業者が手数料を取れるのは、原則として求人者(企業)から。求職者から手数料を取ることは、一部の職種を除いて認められていない。企業側から取る手数料には、上限を定めた条文が無い。届出制の手数料表によって決まる。

つまり、あなたが払っていた35%も、法律が決めた率ではない。相場と交渉で決まっていた数字だ。僕は理論年収(基本給×12か月)の35%で契約していた。年収500万円の人を1人採れば175万円。実際には基本給ベースで計算するので、1人あたり60万〜100万円に収まっていた。

この「理論年収の定義で金額が変わる」という話は、採用担当をやっていないと出てこない。面接で使える。

※ 職業安定法施行規則20条2項には、求職者から手数料を受けられる場合の上限として賃金の100分の11(免税事業者は100分の10.3)が定められています。芸能家・家政婦・配ぜん人など、対象は限定されています。

人材業界への転職を具体的に見るなら、人材・HR領域だけを扱うエージェントのほうが求人の粒度が細かい。無料のカウンセリングで、どの会社がどの職種を採っているかまで出てくる。

③ HR SaaS・HR Techの営業/カスタマーサクセス

採用管理システム、タレントマネジメント、労務のクラウド。この領域は、「元人事」を名指しで採る。理由は単純で、買い手が人事だからだ。

僕も何社かの営業を受けた。刺さったのは、機能の説明が上手い人ではない。「その運用、たぶん今エクセルで回してますよね」と最初に言い当てた人だ。元人事だった。

向く人 — 自社で採用管理システムを入れ替えた経験がある。稟議を通した経験がある。他部署を説得した経験がある。

向かない人 — 数字を追う仕事に抵抗がある。SaaSの営業は、人事の仕事より目標がはっきりしている。

年収は、事業会社の人事より上がりやすい。インセンティブが乗るからだ。ただし、そのぶん目標も明確になる。ここを覚悟なく入ると、1年で苦しくなる。

④ 採用代行(RPO)・人事コンサル

採用の実務を、まるごと請け負う仕事。スカウト文面の作成、日程調整、一次面接の代行まで含むこともある。

採用担当の経験がそのまま商品になる、いちばん直接的な形だ。ただし1つ注意がある。事業会社の人事とは、時間の使い方が逆になる。自社の採用は「採るまで」に全部を賭けられる。代行は、複数社を並行して回す。1社あたりにかけられる時間が減る。

深く1社をやりたい人には向かない。逆に、いろんな会社の採用を見て、型を作りたい人には合う。3年で20社見れば、事業会社にいるより早く目が肥える。

⑤ 人事の外 — 広報・経営企画・組織開発

ここは求人票に「人事経験歓迎」と書いていないことが多い。だから自分から取りに行く必要がある。

採用広報をやっていた人は、広報に近い。採用計画の数字を作っていた人は、経営企画に近い。離職率を追いかけていた人は、組織開発に近い。採用担当の仕事は、実は3つの職種にまたがっている。どこを厚くやってきたかで、越えられる境界が変わる。

ただし正直に書くと、この道はいちばん時間がかかる。書類で落ちやすいからだ。エージェント経由より、リファラルか、社内異動のほうが現実的だった。

採用担当が落ちるのは、だいたいここ

自分が落としてきた側なので、はっきり書く。人事の応募で落ちる理由は3つに集中していた。

「何人採ったか」しか言えない

母集団の数字は、媒体の力かもしれない。あなたの力だと示すには、歩留まりの変化を言う

制度の話が「運用しました」で止まる

作ったのか、回しただけなのか。ここはどの面接でも聞かれる

辞めた人の話ができない

採用の成否は入社後に出る。追いかけていないと、そこで浅さが出る

3つとも、量の話ではない。どこまで見ていたかの話だ。だから、いま担当範囲が狭くても、明日から追いかけ始めれば埋まる。半年あれば言えることが変わる。

もう1つ。採用担当は、書類の書き方を人に教える立場にいる。そのぶん、自分の職務経歴書を客観的に見られなくなる。これは本当によく起きる。僕が見た人事出身の応募書類は、整いすぎていて、何が強いのか分からないものが多かった。落ちる側の型は書類選考に落ちる理由にまとめてあります。

自分の書類がその状態になっていないか。人事以外の目を1つ通してみると分かる。

転職しない道もある

採用担当の経験は、社外でも売れる。副業として採用の相談に乗る、スカウト文面を書く、面接官のトレーニングをする。単価は高くないが、実績にはなる。

僕自身は、転職せずに独立を選んだ。理由は、採用の仕事がいちばん面白かったのが「決める瞬間」だったからだ。会社を作れば、決める回数が増える。転職先を5つ書いておいて言うのも何だが、6つめの選択肢は常にある。

人材紹介と採用代行は、法律の上では別の仕事

②と④は、外から見ると近い。どちらも「他社の採用を手伝う」仕事だからだ。ただ、職業安定法の上では別の枠に入っている。ここを知っていると、面接での話が一段深くなる。

条文を並べる。どちらも4条の定義だ。

条文の定義立ち位置
職業紹介(人材紹介)求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすること(職業安定法4条1項)求人者と求職者のあいだに立つ
労働者の募集(採用代行)労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘すること(同条5項)雇う会社のに立って、その会社の名前で動く

紹介はあいだに立つ。代行は企業の側に入る。だから報酬の形も変わる。紹介は成立してはじめて手数料が出る成功報酬。代行は工数や月額で払う。

これは働き方にも直結する。紹介は、決まらなければ売上がゼロ。代行は、決まらなくても稼働ぶんは入る。収入の振れ幅がまったく違う。どちらが自分に合うかは、性格の問題として先に考えたほうがいい。

委託して募集を行わせる場合、報酬を与えるときは厚生労働大臣の許可、与えないときは届出が要ります(職業安定法36条)。採用代行の会社が何の資格で動いているかは、面接で聞いて構いません。むしろ聞ける人のほうが評価されます。

もう1つ、手数料の非対称も押さえておく。企業から取る手数料に上限の条文は無い。求職者から取れるのは、限られた職種で賃金の11%までだけ。この非対称が、人材業界のビジネスモデルそのものだ。買う側にいた自分は、その11%と35%の差を、毎月の請求書で見ていたことになる。

人事の職務経歴書。僕が通したものと、落としたもの

人事の応募書類は、他職種より整っている。当たり前で、書類を毎日見ている人が書くからだ。そして、整っているだけの書類がいちばん通らない。

僕が通した書類と落とした書類の差を、実際の書き方で並べる。同じ経験でも、書き方でここまで変わる。

書いてある内容落とした書き方通した書き方
母集団形成求人媒体を運用し、応募者数を増加させた媒体を3つから1つに絞り、月の応募を80→45件に減らした。書類通過率が9%→24%になり、面接の工数が半分になった
面接一次面接から最終面接まで担当一次を現場に渡し、僕は二次以降に集中。内定承諾率が62%→81%に上がった
制度評価制度の運用を担当評価シートの設問を14→7に削った。提出率が7割から全員になった
エージェント対応人材紹介会社との折衝6社と契約していたのを2社に。手数料率を35%から交渉し、年間の採用単価を下げた

右側は、全部「減らした」話から始まっている。増やした話は誰でも書ける。減らして成果が上がった話は、判断した人にしか書けない。

もう1つ、僕が見ていたのは数字の粒度だ。「応募数が増えた」は媒体の力かもしれない。「書類通過率が9%から24%」は、基準を変えた人の数字だ。あなたが動かした数字は、どちらだろう。

避けたほうがいい書き方 — 「〜に貢献しました」「〜を推進しました」。人事の書類でいちばん多く、いちばん読み飛ばされる。何をどう変えたか、動詞を具体にする。

職務経歴書の直しは、人事以外の目を通したほうが早い。自分の書類は、自分の基準で読んでしまう。書類を見る側だった人ほどそうなる。

面接で聞かれる5つ。答えを用意しておく

人事を採るときの質問は、会社が変わってもだいたい同じだった。僕が使っていた5つを、そのまま出す。

  1. 「採用要件は誰が決めていましたか」 — 現場が決めた要件をそのまま募集していたのか、人事として口を出していたのかを見ている
  2. 「採らなかった人の理由を、現場にどう説明しましたか」 — 落とす判断を言語化できるか。ここで詰まる人が多い
  3. 「入社1年後の定着率は分かりますか」 — 追いかけていたかどうか。数字を言えなくても『追っていた』と言えれば足りる
  4. 「採用単価はいくらでしたか」 — コスト意識。媒体費とエージェント手数料を合わせて1人あたりいくらか
  5. 「いま募集しているこの求人、どこが採りにくいと思いますか」 — 応募先の求人票を読んできたかを試している

5つめが、いちばん差が出る質問だった。応募先の求人票を読み込んでくる人事は、10人に1人もいない。読んでくれば、それだけで印象が変わる。

答え方にコツはいらない。事実と数字だけでいい。数字が無いなら「取っていませんでした。いま思えば取るべきでした」でいい。取り繕った答えのほうが、はるかに減点だった。

動く時期は、採用担当なら分かっているはず

人事の求人が増える時期がある。自分がその側にいたから分かるはずだ。

  • 6〜7月 — 新卒の採用活動が一段落し、来期の体制を考え始める。増員の稟議が通りやすい
  • 9〜10月 — 下期の開始前。上期に採り切れなかった枠が、人事の増員に振り替わることがある
  • 1〜2月 — 4月入社に間に合わせる動き。ただし競争もいちばん激しい

逆に動きにくいのは、自分の会社の採用がいちばん忙しい時期だ。引き継ぎができないと、辞めるまでが長引く。退職交渉のことまで含めて、時期は選んだほうがいい。

辞めるときのお金の流れは別の記事にまとめてあります。健康保険の切り替えに20日という期限があるので、動く前に一度見ておくと慌てません。

よくある質問

採用担当の経験は何年あれば転職できますか

求人票には3年以上と書かれることが多いですが、僕が見ていたときは年数より担当範囲を見ていました。2年でも、書類選考から内定承諾のフォローまで一気通貫でやっていれば通ります。逆に5年でも日程調整だけなら厳しい。

新卒採用と中途採用、どちらの経験が評価されますか

移る先によります。事業会社の人事なら両方見られる。人材紹介やHR SaaSなら、中途採用の経験のほうが直接効きます。買い手企業のほとんどが中途採用で困っているからです。

面接した人数は書いたほうがいいですか

書いていいですが、それだけだと弱い。人数と一緒に、書類通過率や内定承諾率がどう変わったかを添えると、あなたの働きとして読めます。

人事から人材業界に行くと年収は下がりますか

入り口は下がることがあります。ただしインセンティブの割合が大きいので、2年目以降で逆転する人もいます。固定給と変動給の比率は、面接で数字のまま聞いておく。

エージェントの手数料を知っていることは、面接で言っていいですか

言ったほうがいい。人材業界の面接なら、買い手の相場感を持っている証拠になります。理論年収の定義で金額が変わる話まで踏み込めると、話が具体的になります。

採用担当は将来なくなる仕事ですか

スクリーニングは自動化が進んでいます。ただ、落とす基準を決めるのは人の仕事のままです。基準を作れる側にいるかどうかで、この先の値段が変わると思っています。

この記事で確認した資料

  • 職業安定法 32条の3(手数料)— e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第百四十一号。2026年9月9日確認
  • 職業安定法施行規則 20条2項(求職者から受ける手数料の上限)— 同上
  • 手数料の金額(理論年収の35%、1人あたり60万〜100万円)は、僕が採用担当として契約していた実額です。会社や職種によって変わります

採用側の視点は、ほかの記事にも書いています。求人票の読み方と、書類選考で落ちる理由から先に読むと、この記事の背景がつながります。

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この記事を書いた人

会社員の頃から副業を始めて5年で副業でのトータル収益1,000万円以上。大きく稼ぐより、コツコツ安定して副業収益を作ることが得意。最初はFXで200万円マイナスを出した経験、会社の代表8年目の財務、税金関係の経験をブログにして書いていきます。

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