求人票に2024年から増えた3つ。変更の範囲と更新上限

求人票に2024年から増えた3つ。変更の範囲と更新上限

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求人票の見方を書いた記事は多い。では、2024年4月に国が「書くこと」と決めた欄が3つ増えたのを知っているか? そこはあまり書かれていない。職業安定法施行規則の改正で、業務内容と就業場所に「変更の範囲」、有期なら「更新上限」の明示が義務になった。この3つは、入社後に何が起きるかを先に教えてくれる欄だ。

僕は採用側で求人票を書いていた。約500人を書類から最終面接まで見て、エージェント経由の採用では1人あたり60万〜100万円の手数料を払っていた。書く側にいたから分かるのは、どの欄に本音が出て、どの欄が形式で埋まるかだ。この記事は、増えた3つの欄を条文で確認し、そこに何が出るかを書く。

条文と記載例は厚生労働省のリーフレット「求職者への労働条件明示のルールなどが変わります!」(職業紹介事業者向け)を2026年9月3日に原文で確認したもの。書いていないことは書かない。

※ 広告を含みます。法令の内容は厚生労働省の公表資料によります。個別の労働条件の判断は、労働局・労働基準監督署にご確認ください。

2024年4月に増えたのは、この3つ。

  1. 業務内容の「変更の範囲」 — 雇入れ直後の業務と、変わりうる範囲の両方を書く
  2. 就業場所の「変更の範囲」 — 雇入れ直後の場所と、変わりうる範囲の両方を書く
  3. 有期契約を更新する場合の基準 — 通算契約期間の上限、または更新回数の上限を含む
目次

「変更の範囲」は、転勤と職種転換の予告になっている

厚労省の記載例を、そのまま引く。

記載例(厚労省のリーフレットより)
業務内容(雇入れ直後)法人営業 / (変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般
業務内容(雇入れ直後)経理 / (変更の範囲)法務の業務
就業場所(雇入れ直後)大阪支社 / (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所
就業場所(雇入れ直後)渋谷営業所 / (変更の範囲)都内23区内の営業所

上の1行目を求人票で見たら、何が読み取れるか? 入社時は法人営業だが、製造以外のどの部署にも動かしうる、という意味だ。3行目なら、大阪で採用するが全国転勤がありうる。入社後に「話が違う」と言われないために国が書かせている欄で、ここが広い会社は、実際に動かす前提で設計されている。

採用側で書いていたとき、この欄はいちばん広く書きたくなる。狭く書くと、あとで異動させられなくなるからだ。だから「当社業務全般」「全国の支社」と書いてある求人は珍しくない。それ自体は悪いことではない。まずいのは、面接でその話が一度も出ないまま入社が決まることだ。広い範囲が書いてあるなら、面接で聞く。「直近3年で、この職種から異動した人は何人ですか」。

在籍出向についても、リーフレットに注記がある。出向先での就業場所や業務が、出向元の会社の変更の範囲を超える場合は、その旨を明示するように、とある。出向の可能性がある会社は、ここに現れる。あなたの求人票に、その注記はあるか?

更新の基準は「具体的に書け」と国が言っている

有期契約なら、更新するかどうかの基準も明示事項になった。リーフレットの記載例はこうだ。

  • 契約の更新 有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断) ※通算契約期間は4年を上限とする
  • 契約の更新 有(自動的に更新する) 契約の更新回数は3回を上限とする

そして注記に、こう書いてある。「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」というような抽象的なものではなく、「勤務成績、態度により判断する」「会社の経営状況により判断する」など、具体的に記載いただくことが望ましい。

つまり、求人票に「諸般の事情を総合的に考慮」と書いてあったら、国が望ましくないと名指しした書き方をしている会社だということになる。判断材料としては、これで十分だと思う。ではどう使うか? 面接で「更新の判断は具体的に何で決まりますか」と聞き直す。

更新上限も見る。「通算4年」と書いてあれば、5年目に入る前に契約が切れる設計だ。無期転換の申込権は通算5年を超えたときに発生するので、4年で止める設計は、そこを意識している可能性がある。ここは推測せず、書いてある数字を読むだけでいい。

固定残業代は、内訳まで書かせている

賃金欄にも決まりがある。時間外労働の有無にかかわらず一定の手当を支給する制度、いわゆる固定残業代を採用する場合は、基本給(手当を除く額)と手当の内訳を書く形が求められている。時間外労働の欄も「あり(月平均20時間)」のように数字で書く記載例が示されている。

月給25万円とだけ書いてある求人と、基本給20万円+固定残業代5万円(30時間分)と書いてある求人は、同じ25万円でも中身が違う。後者は、30時間働いて25万円という意味だ。内訳が書いていない求人は、面接で聞く。同じ25万円でも、手取りに向かう前提が違うからだ。

裁量労働制の場合も記載例がある。「企画業務型裁量労働制により、●時間働いたものとみなされます」。みなし時間が書いていなければ、何時間働いたことになるのか? そこも聞く材料になる。

エージェント経由なら、明示するのは紹介事業者の義務

この明示義務は、求人企業だけの話ではない。2024年4月の改正は職業安定法施行規則の改正で、職業紹介事業者が求職者に対して明示しなければならない労働条件に、上の3つが追加された。リーフレットも職業紹介事業者向けに出ている。

だから、エージェントから紹介された求人に「変更の範囲」が書いていなければ、それは担当者に聞いていい。書くことになっている項目なので、聞かれて困る質問ではない。

同じ改正で、職業紹介事業者には情報提供の見直しも入った。①手数料表 ②返戻金制度に関する事項を記載した書面 ③業務の運営に関する規程を、求人企業がサービス利用時に必ず参照するページなど、閲覧に便利な場所に掲載することが望ましいとされている。人材サービス総合サイトでの手数料表と返戻金制度の情報提供は、引き続き必要とある。

採用側にいたときの実感で言うと、手数料の話は求職者にはほぼ見えない。僕は理論年収の35%を払っていて、年収500万円の人なら175万円になる。その金額を払う側が何を見ていたかは、転職エージェント経由の応募で、採用側が最初に見る3つに書いた。

求人票で見る順番。5つ

変更の範囲(業務・就業場所)

広ければ、異動と転勤の前提がある。面接で直近の実績人数を聞く。

更新の基準と上限

有期なら、判断基準が具体的か。「諸般の事情」は国が望ましくないとした書き方。上限の年数も見る。

賃金の内訳

固定残業代なら基本給と手当の内訳、対応する時間。書いていなければ聞く。

時間外労働の数字

「あり(月平均●時間)」の形で書かれているか。数字が無い求人は、面接で聞く。

試用期間の条件

期間と、その間の賃金。記載例では「月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)」のように差がある場合を書く形になっている。

5つとも、書いてあるかどうかで判断できる。書いていない求人が違法とは限らない。書くことになっている項目が抜けているのは、それ自体が情報になる。

3つとも、求人票に書いてあるかどうかを見るだけです。書いていない求人は、そもそも明示義務を果たしていません。

エージェント経由なら、明示するのは紹介事業者の義務です。求人票に無ければ、担当者に聞けば取り寄せてもらえます。自分で企業に問い合わせるより早い場面があります。

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求人票の書き方は変わったが、書いていない部分は自分では確かめられない。変更の範囲や更新の実態は、その会社に人を送っている側がいちばん知っている。相談は無料。

職種で見るところが変わる

施工管理や建築のような現場職なら、就業場所の変更の範囲がそのまま現場異動の範囲になる。介護なら施設間の異動。製造なら工場と派遣先。士業は事務所の規模で仕事の幅が変わる。同じ求人票でも、職種によって効く欄が違う。あなたの職種では、どの欄が効くか?

職種ごとに特化したエージェントの求人数と面談の中身は特化型の転職エージェント10社を、採用担当2年の僕が格付けに、ITエンジニアはITエンジニアの転職エージェント3社に並べた。20代なら20代の転職エージェント5社、年収800万円からは年収800万円からの転職エージェント4社

よくある質問

求人票に「変更の範囲」が書いていません。違法ですか

2024年4月から明示が必要な事項。書いていない理由は求人企業か紹介事業者に確認してほしい。この記事では違法かどうかの判断はしない。

「変更の範囲」が広い会社は避けるべきですか

避けるとまでは言わない。広く書くのは、あとで異動させられるようにするためで、採用側では普通のこと。面接で実際の異動人数を聞いて判断してほしい。

更新上限が4年と書いてありました

5年目に入る前に契約が切れる設計。無期転換の申込権は通算5年を超えたときに発生する。上限の数字は、そのまま読む。

固定残業代の内訳が書いていません

内訳と対応する時間を明示する形が示されている。書いていなければ、面接か担当者に聞く。

エージェントに「変更の範囲」を聞いても大丈夫ですか

大丈夫。職業紹介事業者が明示することになっている項目なので、聞かれて困る質問ではない。

求人票と実際の条件が違いました

労働条件の明示に関する相談は、都道府県労働局や労働基準監督署が窓口。この記事は法律の助言ではない。

まとめ

  • 2024年4月から、業務内容と就業場所の「変更の範囲」、有期の「更新上限」が明示事項になった
  • 「変更の範囲」が広い=異動と転勤の前提がある。面接で直近の実績人数を聞く
  • 更新の基準は具体的に書くのが望ましいと国が明記。「諸般の事情を総合的に考慮」は名指しされた書き方
  • 固定残業代は基本給と手当の内訳、時間外労働は月平均の数字で書く記載例がある
  • エージェント経由でも、明示するのは紹介事業者の義務。書いていなければ聞いていい

※ 広告を含みます。この記事の採用側の話は、僕が採用責任者として求人票を書き、書類選考と面接を担当した経験に基づくもので、すべての会社に当てはまるとは限りません。手数料の料率(理論年収の35%)は当時のうちの契約の数字です。

この記事で確認した資料

厚生労働省「求職者への労働条件明示のルールなどが変わります!(職業紹介事業者の皆さま)」(2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則。記載例・注記を含む)を2026年9月3日に原文で確認しました。労働基準法に基づく労働契約締結時の明示事項についても同様の改正がなされていることが、同資料に記載されています。


次に読むもの

求人票の3つを確かめたら、次は自分の書類がその要件に合っているかです。読む側は一致を探しています。

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この記事を書いた人

会社員の頃から副業を始めて5年で副業でのトータル収益1,000万円以上。大きく稼ぐより、コツコツ安定して副業収益を作ることが得意。最初はFXで200万円マイナスを出した経験、会社の代表8年目の財務、税金関係の経験をブログにして書いていきます。

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