「未経験歓迎」と書いてあるから応募した。書類で落ちた。歓迎じゃないなら書かないでほしい——そう思いますよね。
求人票を書く側にいました。あの1行は、応募者を集めるためだけのものとは限りません。法律の要件を満たすために書く場合があります。
年齢で絞りたい会社は、「未経験歓迎」と書くしかない
募集・採用で年齢を制限するのは、原則として禁止されています(労働施策総合推進法9条)。例外事由に当たる場合だけ認められます。
若い人を採りたい会社が使うのが例外事由3号イ。長期勤続によるキャリア形成のために、若年者等を期間の定めのない労働契約で募集・採用する場合です。
この3号イには、厚労省が挙げている要件が2つあります。
- 対象者の職業経験について不問とすること
- 新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすること
つまり「35歳まで」と「未経験歓迎」は、法律上セットでしか出せないということです。年齢を絞りたい会社ほど、未経験歓迎と書きます。
「未経験歓迎」でも、経験者が来たら採る
ここが落ちる理由に直結します。求人票が職務経験を条件にできないだけで、経験者の応募を断る理由はありません。
僕がいた会社でも、未経験歓迎の枠に経験者が来ることは普通にありました。同じ枠で、同じ条件で、経験者と未経験者が並びます。そうなると結果は見えています。
応募する側からは、その競争が見えません。求人票に「未経験歓迎」としか書いていないからです。
「未経験」の意味が3つある
もうひとつ、言葉の幅の問題があります。求人票の「未経験」には、少なくとも3種類が混ざっています。
| 書き方 | 免除されるもの | 免除されないもの |
|---|---|---|
| 職種未経験可 | その職種の経験 | 同じ業界での経験、社会人経験 |
| 業界未経験可 | その業界の経験 | 同じ職種での経験、社会人経験 |
| 未経験歓迎 | 書き方によって変わる | 社会人経験は、たいてい免除されない |
「職種未経験可」の求人に、業界も職種も初めての人が応募すると、2つ足りない状態で並ぶことになります。求人票の言葉を、そこまで細かく読む人は多くありません。
採用側は、未経験の応募のどこを見ているか
経験が無い人を見るとき、判断材料が減ります。減ったぶんを何で埋めるか。2年で約500人を見た範囲では、こうでした(人数は概算です)。
- その職種に近い作業を、いまの仕事でどれだけやっているか。職種名が違っても、中身が近ければ材料になります
- なぜその職種なのかが、経歴とつながっているか。「やってみたい」だけの人と、いまの仕事の延長で説明できる人では、通り方が違いました
- 入ってから教わる姿勢があるか。年齢が上のときほど、ここを見られます
- 年収が下がることを分かっているか。未経験で入る以上、下がる場面があります。ここに触れていない書類は、面接で確認する手間が増えます
4つめが抜けている書類は多かった。聞く手間が惜しくて、書類で落とすこともありました。先に1行書いてあれば済みます。
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この3つは、求人票からは読み取れない。実際にその会社へ人を送っている側に聞くのが早い。20代なら、未経験可の枠がどこにいくつあるかまで持っている。相談は無料。
応募する前に確かめる3つ
歓迎条件は飛ばして、必須の欄。ここに経験や資格が書いてあれば、それが本当の線です
職種未経験可なのか、業界未経験可なのか。両方書いていないなら、どちらの意味かを聞きます
上限があるなら3号イの可能性が高く、職務経験は問われない建て付けのはずです。そこと必須要件が食い違っていたら、聞く価値があります
3つめは強い材料になります。「35歳まで」と「経験者優遇」が同じ求人票に並んでいたら、その時点で説明が要ります。
よくある質問
- 未経験歓迎なのに経験者が採用されるのは違反ですか
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違反ではありません。年齢制限の例外事由が「職務経験を条件にできない」と定めているだけで、経験者の応募を断る義務も、未経験者を優先する義務もありません。
- 「未経験歓迎」と「35歳まで」が両方書いてあります
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例外事由3号イを使っている可能性が高い形です。この場合、職務経験を条件にできないので、必須要件に経験や資格が書いてあれば矛盾します。
- 社会人経験も無い場合はどうなりますか
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新卒者と同等の処遇で採用する枠なら対象になりえます。3号イの2つめの要件がそれです。第二新卒の求人はこの形が多いです。
- 何歳まで未経験で転職できますか
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法律上の線はありません。3号イで年齢上限を設ける場合、厚労省はおおむね45歳未満を目安としています。それ以外は例外事由に当たらない限り年齢で絞れません。
- 未経験の求人に落ちた理由を聞けますか
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不採用の理由を伝える義務を定めた条文は見つけられませんでした。エージェント経由なら担当者に確認してもらえますが、返ってくるのは「経験のマッチ度」程度が普通です。
この記事で確認した資料
厚労省の資料は令和7年4月1日時点、条文は2026年4月1日施行のものを2026年9月5日に確認しました。実務の話は僕がいた会社での運用で、他社に当てはまるとは限りません。面接した人数は本人の概算です。
次に読むもの
- 書類選考で年齢を理由に落とすのは法違反です。例外は6つ
- 書類選考に落ちる理由を、60万円払っていた側から書きます
- 求人票に2024年から増えた3つ。変更の範囲と更新上限
- 転職エージェント経由の応募で、採用側が最初に見る3つ
求人票の言葉は、募集する側の都合で決まります。その都合を先に知っておくと、落ちた理由の見当がつきます。必須要件と自分の経歴を突き合わせる作業は、担当が付くと早く済みます。
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