求人票には「年齢不問」。それでも書類で落ちる。年齢のせいだと思っていませんか?
厚生労働省の資料を原文で読みました。書類選考で年齢を理由に落とすのは、法律違反です。「年齢不問」と書けば済む話でもありません。
「年齢不問」と書けばいい、ではない
厚労省の資料に、そのまま書いてあります。
形式的に求人票を「年齢不問」とすれば良いということではありません。年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定することは法違反になります。また、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできません。
厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」(令和7年4月1日時点)
根拠は労働施策総合推進法9条です。平成19年の改正で義務になりました。
- ハローワークだけでなく、民間の職業紹介事業者、求人広告、自社ホームページでの直接募集にも適用される
- パート、アルバイト、派遣など雇用形態を問わない
- 年齢を理由に、雇用形態や職種などの条件を変えることもできない
年齢制限が認められる例外は6つだけ
原則は年齢不問です。例外は、資料に並んでいる事由に当たる場合だけ。6つあります。
| 例外事由 | 中身 |
|---|---|
| 1号 | 定年年齢を上限として、上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約で募集・採用する |
| 2号 | 労働基準法その他の法令で年齢制限が設けられている業務(労基法62条の危険有害業務、警備業法14条など) |
| 3号イ | 長期勤続によるキャリア形成のため、若年者等を期間の定めのない労働契約で募集・採用する |
| 3号ロ | 労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、期間の定めのない労働契約で募集・採用する |
| 3号ハ | 芸術・芸能の分野で、表現の真実性などの要請がある |
| 3号ニ | 60歳以上の高年齢者、または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策に限る)の対象者に限定する |
1号と3号イには、細かい縛りがある
この2つがよく使われます。ただ、条件が厳しい。
- 1号で上限にできるのは定年年齢だけ。定年63歳の会社が「60歳未満」で募集するのは認められない
- 1号でも3号イでも、下限年齢は書けない。「40歳以上60歳未満」は不可
- 3号イでは職務経験を条件にできない。「○○の経験者募集」も、経験がないと取れない資格(ファイナンシャルプランナー1級など)の指定も不可
- 有期契約なら1号は使えない。更新し続ける実態でも、個々の契約が有期なら対象外
3号イの「若年者等」は基本的に35歳未満を想定しつつ、そこに限られません。ただし定年がある場合、勤続可能期間が極端に短くなる上限は認められず、おおむね45歳未満が目安とされています。
では、実際はどうなっているか
ここから先は法律の話を離れます。採用側にいた僕の実務の話です。2年で約500人を書類から最終面接まで見ていました(人数は概算です)。
年齢そのもので落とすことはしませんでした。そこは法律のとおりです。でも、部門長が「30代前半で」と言えば、それは要件として伝わります。求人票には書けないので、選考の中で別の言葉に置き換わります。
- 「チームの年齢構成に合うか」
- 「この年収レンジで納得してもらえるか」
- 「入社後に指導する側と年齢が逆転しないか」
どれも年齢そのものを言っていません。外からは見えない。証明もできない。ここが「年齢のせいで落ちた」と感じても確かめようがない理由です。
それでも打てる手がある
年齢が効いていそうな場面で、こちら側が動かせるのは年齢以外の変数です。
- 求人票の必須要件と、経歴の言葉を一致させる。読む側は一致を探しています。年齢で迷っていても、要件が全部埋まっていれば通すことがあります
- 直近3年を厚く書く。中途で見るのは「いまできること」です。10年前の経歴より去年の実績
- 年収の希望を先に書く。「この年齢ならこの額を求めるはず」という推測で落とされるのを防げます
- 指導される側に回れることを書く。年齢が上のときに効きます。ここを気にする会社は本当に多い
4つめは身も蓋もない話です。とはいえ、採用側がいちばん心配しているのはここでした。
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年齢で切られている実感があるなら、公募に出ていない枠を持つ側から入る手がある。非公開の求人は、年齢より職務経歴で見られていることが多かった。会員登録は無料。
違反かもしれない、と思ったら
求人に年齢制限が書いてある、または年齢を理由に断られた。その場合の相談先は都道府県労働局とハローワークです。厚労省の案内にもそう書いてあります。
よくある質問
- 求人票に「35歳まで」と書いてあります。違法ですか
-
例外事由に当たれば認められます。3号イ(長期勤続によるキャリア形成)を使う場合は、期間の定めのない労働契約であること、職務経験を条件にしていないことが要件です。求人に「経験者募集」と併記されていれば、その時点で3号イは使えません。
- 「年齢不問」なのに落ちました。違反ですか
-
年齢を理由に落としたのなら違反です。ただし外から確かめる方法がありません。不採用の理由を伝える義務を定めた条文も見つけられませんでした。
- 何歳から書類が通りにくくなりますか
-
年代別の通過率として出回っている数字は、エージェント各社が自社の実績として公表しているものです。母数も定義も会社ごとに違うので、横に並べて比べられる数字ではありません。
- 派遣やアルバイトでも同じですか
-
同じです。厚労省の資料が「パート、アルバイト、派遣など雇用の形態を問いません」と明記しています。
- 60歳以上を対象にした求人は違反ですか
-
例外事由3号ニに当たります。60歳以上の高年齢者に限定した募集・採用は認められています。
この記事で確認した資料
厚労省の資料は令和7年4月1日時点、条文は2026年4月1日施行のものを2026年9月5日に確認しました。実務の話は僕がいた会社での運用で、他社に当てはまるとは限りません。面接した人数は本人の概算です。
次に読むもの
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年齢が動かせない以上、動かせるところを全部埋めてから出すしかありません。求人票の要件と経歴の言葉を突き合わせる作業は、担当が付くと早く済みます。
PR:上のリンクはアフィリエイト広告です。運営者は採用担当2年、新卒・中途の両方を書類から最終面接まで担当しました。この記事は厚生労働省とe-Gov法令検索の原文にもとづいて書いています。
