人材業界の転職難易度。1人60万円払う側から見た3つ

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人材業界は未経験でも入りやすい。そう書いてある記事は多い。では、入りやすい理由まで書いてあるものはどれくらいあるか? そこを飛ばすと、入ったあとで詰まる。

僕は採用担当を2年やった。書類から最終面接まで、500人くらいを見ている。そのあいだ、人材紹介会社の営業と何百回も会っている。エージェント経由で採るたびに1人60万〜100万円を払っていた。つまり、人材業界のサービスを買っていた側だ。

この記事は、買い手から見た人材業界を書く。難易度、入りやすさの理由、続く人と続かない人。手数料の仕組みは条文で確認した。

※ 広告を含みます。法令は e-Gov 法令検索の原文を2026年9月9日に確認しました。個別の判断は労働局・ハローワーク・専門家にご確認ください。

目次

難易度は、どの職種を狙うかで3つに割れる

「人材業界」とひとくくりにすると、難易度が測れない。中の職種で難易度が違うからだ。

職種何をするか未経験の入りやすさ
キャリアアドバイザー(CA)求職者を担当し、求人を紹介する入りやすい
リクルーティングアドバイザー(RA)企業を担当し、求人を預かる。法人営業営業経験があれば入りやすい
両面型CAとRAを1人で持つ中。未経験可の求人もある
人材派遣のコーディネーター登録者と派遣先をつなぐ入りやすい
ヘッドハンター・エグゼクティブサーチ経営層・専門職を直接口説く難しい。業界経験か、その領域の実務経験が要る
人材系の企画・マーケティング媒体運営、集客難しい。求人自体が少ない

検索で「人材業界 転職難易度」と調べる人が想像しているのは、たいていCAかRAだ。この2つは、未経験の門が広い。逆にヘッドハンターと企画は、別の職種と考えたほうがいい。

なぜ未経験で入れるのか。理由は3つ

門が広いのには理由がある。3つある。良い理由と、そうでない理由が混ざっている。

  1. 売るものが、人そのものだから — 商品知識の蓄積が要らない。話を聞く力があれば初日から動ける
  2. 成果が数字で出るから — 決定人数と売上。未経験でも、数字が出れば評価される。逆も同じ
  3. 人が辞めるから — 採用を続けている会社は、辞める人が多い会社でもある

3つめを、業界側の記事はあまり書かない。でも買い手からは見えていた。担当が1年で3回変わったエージェントがあった。引き継ぎのたびに、こちらの要件を最初から説明し直すことになる。

これは、入る側にとっては悪い話ばかりでもない。人が動く業界は、ポジションが空く業界だ。入ってから上がるまでが早い。3年目でマネージャーという人に、僕は何人も会っている。

手数料の構造を、条文で押さえておく

面接では、まず話題になる。ここを知らずに行くと、志望動機が薄くなる。

職業安定法32条の3。有料職業紹介事業者が手数料を受けられるのは、原則として求人者(企業)から。求職者から手数料を取れるのは、施行規則20条2項で限られた職種(芸能家、家政婦、配ぜん人など)だけで、上限は賃金の100分の11です。

求職者が無料で使えるのは、サービス精神ではない。法律がそう作っているからだ。そして、企業から取る手数料には上限を定めた条文が無い。届出た手数料表の範囲で決まる。

僕が結んでいた契約は、理論年収(基本給×12か月)の35%だった。年収500万円の人でも、基本給ベースだと理論年収は下がる。実額で1人60万〜100万円に収まっていた。

この非対称が、人材業界の稼ぎ方そのもの。求職者からは取れない。企業からは上限なく取れる。だから営業の顔は、企業側に向いている。

CAとRA、どちらを志望するかで、この構造の見え方が変わる。CAは求職者と向き合う。ただし売上は企業側から立つ。板挟みになるのは、構造上そうなっているからだ。面接でここを理解していると示せると、話が一段深くなる。

買い手として見て、伸びていた営業の共通点

何百人と会うと、差が出る。はっきり出る。僕が「この人からなら買う」と思った営業には、共通点が3つあった。

  • 求人票に書いていないことを聞いてくる — 「この要件、現場が言ったんですか、人事が決めたんですか」。ここを聞いてくる人は、精度の高い候補者を連れてきた
  • 連れてこない判断ができる — 「今回は該当者がいません」と言える。数を送ってくる人より、結果的に決まった
  • 採ったあとを聞いてくる — 3か月後に「あの方どうですか」と連絡が来る。次の紹介の精度が上がる

逆に、続かない人の型も見えていた。要件をそのまま受け取って、条件に合う人を検索して送る。これだと決まらない。決まらないから数を送る。数を送るから信用が落ちる。この循環に入ると、1年もたない。

人材業界で数字が出ないときの典型 — 「求人票どおりに探している」。求人票は、企業が言語化できた範囲でしかない。言語化できていない部分を聞き出すのが仕事になる。

つまり、向いているのは検索が得意な人ではない。人の話から、書いていない条件を引き出せる人だ。この力は、営業経験より、聞く仕事の経験で付く。接客、看護、教員、カウンセラー。異業種から来て伸びていた人は、そういう経歴が多かった。

きついと言われる理由を、3つに分けて見る

「人材業界 きつい」も、よく調べられている。中身を分けると、耐えられるものとそうでないものがある。

言われるきつさ実態自分に合うかの見分け方
数字の詰め決定人数と売上が毎週見える。未達なら詰められる数字が見えると燃えるか、萎えるか
求職者と企業の板挟み売上は企業側から立つ。求職者の希望と食い違う誰の利益を優先するか、自分の中で決められるか
連絡の量求職者は日中連絡が取れない。夜と土日に寄る生活リズムをずらせるか
決まらない期間が続く成功報酬なので、動いても売上ゼロの月がある結果が出るまで動き続けられるか

4つのうち、いちばん人を辞めさせていたのは4つめだと思っている。動いた量と売上が、連動しない期間があること。企業側の都合で選考が止まる。内定辞退が出る。自分のせいではないところで数字が消える。

ここを「理不尽」と感じる人は続きにくい。「じゃあ止まらない案件を増やそう」と動ける人は残る。能力の差だとは思わなかった。性格の差だ。あなたはどちらだろう。

採用担当・人事から人材業界へ行く場合

買い手から売り手へ回るパターン。相性はいい。ただし、面接で決まって聞かれることが1つある。

「営業目標を持ったことはありますか」。これは外さずに来る。人事の仕事は、採用計画という数字はあっても、売上目標とは性質が違う。ここを正面から答えられるかで結果が分かれる。

答え方は単純でいい。無いなら「ありません。ただ、採用単価と歩留まりは毎月追っていました」と言う。数字を追う習慣があることを示せば足りる。取り繕った答えのほうが減点だった。これは自分が面接官として何度も見てきたことだ。

人事から見た転職先は5つに分けて別の記事に書きました。人材業界はそのうちの1つで、年収の上がり方がいちばん読みにくい選択肢でもあります。

人材紹介と人材派遣は、条文からして別の商売

人材業界に入るとき、紹介と派遣のどちらを選ぶかで働き方が変わる。2つは法律の枠が違う。ここを面接で説明できると、業界研究をしてきたことがそのまま伝わる。

根拠条文雇用関係お金の入り方
人材紹介職業安定法4条1項「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすること」紹介先の会社と本人のあいだに成立する決まった時点で成功報酬。1回きり
人材派遣労働者派遣法2条1号「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」派遣元のまま。指揮命令だけ派遣先へ就業している間ずっと。継続課金

派遣法2条1号には続きがある。「当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まない」。最初から派遣先に雇わせることまで取り決めているなら、それは派遣に入らない。紹介の側になる。

この違いは、自分の売上にそのまま出る。紹介は1件決まって終わり。次の月はゼロから積み直す。派遣は就業が続くかぎり売上が立つ。積み上がる代わりに、1件あたりの単価は小さい。

毎月ゼロから積むのが苦にならないなら紹介。積み上げて安定させたいなら派遣。求人票の職種名より、この違いのほうが働き方を決める。

面接で聞かれる5つ。答えを持っていく

人材業界の選考で聞かれることは、会社が変わってもだいたい同じだった。買い手として何十社の営業を見てきた立場から、意図つきで並べる。

  1. 「なぜ人材業界ですか」 — 人の役に立ちたい、で止まると弱い。無形商材の営業を選ぶ理由まで降ろす
  2. 「営業目標を持ったことはありますか」 — 無くていい。数字を追う習慣があるかを見ている
  3. 「求職者と企業の希望が食い違ったらどうしますか」 — 板挟みの構造を理解しているか。きれいごとで答えると落ちる
  4. 「弊社と他社の違いは何だと思いますか」 — 特化領域を調べてきたか。CAとRAの分業体制まで見ていれば強い
  5. 「決まらない月が続いたらどうしますか」 — いちばん人が辞める理由。ここに現実的な答えを持っているか

5つめの答えを、僕なら「止まっている案件の理由を数えます」と言う。企業都合か、自分の見立て違いか、そもそも母数が足りないのか。分けられれば手が打てる。精神論で答えると、続かない人に見える。

入る会社は、規模より特化領域で選ぶ

大手と中堅で迷う人が多い。ただ、買い手から見て差が出ていたのは規模ではない。もっと別のところだった。どの領域に詳しいかだ。

会社の型強み入る側から見た注意
総合大手求人数が多い。研修が整っている分業が細かく、担当範囲が狭くなりやすい
業界特化型その業界の言葉が通じる。単価が高いその業界の知識を先に入れる必要がある
職種特化型候補者の質が読める。リピートが多い領域が狭いぶん、景気の影響を受けやすい
ハイクラス特化1件の単価が大きい未経験の門は狭い

僕が繰り返し発注していたのは、特化型の会社だった。理由は単純で、要件を説明する時間が短くて済んだからだ。「その職種なら、たぶんこういう人ですよね」と最初から言ってくれる。総合大手は求人票どおりの検索になりがちだった。

入る側から見ると、これは3年後の自分の値段に効く。特化領域を持っていれば、次の転職でその領域ごと売れる。汎用の営業経験は、汎用の値段にしかならない。

年収の上がり方が、他業界と違う

固定給と歩合の比率で、別の職業になる。同じ職種名でも、だ。

固定給変動給向く人
固定給が高い型高い小さい生活を安定させたい。大手に多い
歩合が大きい型低め大きい数字を作れる自信がある。ベンチャーに多い
両面型・高単価領域大きい1件の単価が高い領域(管理職、専門職)で戦う

入り口の提示年収だけで比べると、判断を間違える。面接で聞くのは3つ。固定と変動の比率、変動が付き始める基準、その基準を昨年何%の人が超えたか。

3つめが効く。「モデル年収」は、達成した人の数字だ。何割が達成しているかを聞けば、その数字が普通なのか例外なのかが分かる。答えを濁す会社は、そこで判断がつく。

入ってから3年で、何が残るか

最後に、出口の話をしておく。人材業界は入りやすい。だから、出るときのことを先に考えておいたほうがいい。

3年やって残るものは、3つに分かれていた。買い手として長く付き合った営業を見ていて、そう思う。

  • 特定領域の人脈と相場観 — その業界の、誰がどこにいて、いくらで動くか。これはいちばん高く売れる
  • 企業の採用課題を言語化する力 — 事業会社の人事や、人事コンサルへ移るときに効く
  • 数字を作り続けた実績 — 業界を出ても、法人営業として通る

逆に、残りにくいものもある。求人検索の速さ。社内システムの使い方。これは持ち出せない。

つまり、入ったあとにどこを厚くするかで、3年後の値段が変わる。領域を決めずに数だけ追うと、3年たっても汎用の営業のままになる。1年目のうちに、自分の領域を1つ決めておく。それだけで違う。

事業会社の人事へ戻る道もあります。買い手と売り手の両方を経験した人は、人事の採用市場で強い。僕が面接する側なら、いちばん話を聞いてみたい経歴です。

よくある質問

人材業界の転職難易度は高いですか

職種で分かれます。キャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーは未経験の門が広い。ヘッドハンターと人材系の企画は難しく、業界経験か対象領域の実務経験が要ります。

未経験から人材業界に行くなら、何歳までですか

年齢だけを理由に落とすことは法律で制限されています(労働施策総合推進法9条)。ただし実務上、未経験可の求人は20代・30代前半が中心です。40代なら、前職の業界知識を売りにできる領域を選ぶほうが早い。

営業経験がないと厳しいですか

必須ではありません。僕が見ていた範囲で伸びていたのは、聞く仕事の経験がある人でした。接客、看護、教員など。ただし数字を追うことへの抵抗が無いことは前提になります。

人材業界は離職率が高いと聞きます

採用を続けている会社は、人が抜けている会社でもあります。入る側から見ると、ポジションが空きやすいという意味でもある。3年目でマネージャーという人に何人も会いました。

人材業界から別の業界に戻れますか

戻れます。法人営業の経験として通ります。むしろ、いろんな会社の内側を見た経験は事業会社の人事で評価されます。人事に移る人は多い。

CAとRA、どちらから入るべきですか

求職者と話したいならCA、企業と話したいならRA。ただし売上は企業側から立つので、CAでも企業の事情は理解しておく必要があります。両面型なら両方できますが、負荷は上がります。

この記事で確認した資料

  • 職業安定法 32条の3(手数料)、4条1項(職業紹介の定義)— e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第百四十一号。2026年9月9日確認
  • 職業安定法施行規則 20条2項(求職者から受ける手数料の上限、賃金の100分の11)— 同上
  • 労働者派遣法 2条1号(労働者派遣の定義)— e-Gov法令検索 昭和六十年法律第八十八号。2026年9月9日確認
  • 労働施策総合推進法 9条(募集・採用における年齢制限の禁止)
  • 手数料の実額(理論年収の35%、1人あたり60万〜100万円)は、僕が採用担当として契約していた金額です。会社と職種によって変わります

買い手の側から書いた記事を続けて読むと、業界の構造がつながります。

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この記事を書いた人

会社員の頃から副業を始めて5年で副業でのトータル収益1,000万円以上。大きく稼ぐより、コツコツ安定して副業収益を作ることが得意。最初はFXで200万円マイナスを出した経験、会社の代表8年目の財務、税金関係の経験をブログにして書いていきます。

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