就業規則の副業禁止に、どこまで効力があるのか。厚労省の資料を原文で読みました

就業規則の副業禁止に、どこまで効力があるのか。厚労省の資料を原文で読みました

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執筆・監修:ちゃんみ(元・採用責任者。新卒・中途あわせて約500人を書類から最終面接まで担当/法人代表7年/確定申告8年)。この記事の数字と制度は、公式資料を原文で確認した日付つきで書いています。

副業の話をすると、かなりの確率でここで止まります。「うちの会社、就業規則で副業禁止なんだよね」

この一言で終わらせている人が多いと思います。僕も最初はそうでした。

ただ、就業規則に書いてあることが、そのまま全部通るわけではありません。厚生労働省が出しているガイドラインに、裁判例がどう判断してきたかがまとめられています。原文で読みました。

この記事は公表資料の紹介です。個別の事案は契約内容と実態で変わります。処分を受けそうな状況なら、労働局の総合労働相談コーナーか弁護士に相談してください。最後に出典を全部載せています。


目次

出発点は「労働時間以外は労働者の自由」

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には、裁判例の到達点がこう書かれています。

労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であること

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2026年8月27日に原文で確認)

ここが土台です。会社が買っているのは労働時間の中の労務であって、そこから外れた時間まで支配できるわけではない、という考え方です。

同じガイドラインは、企業に対してこうも書いています。

裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2026年8月27日に原文で確認)

国が企業に向けて「一律禁止は見直しなさい」と言っている、ということです。


禁止できるのは4つの場合だけ

では例外はどこか。ガイドラインは裁判例が認めた類型を、はっきり4つに絞って挙げています。

例外的に、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるとされた場合としては ①労務提供上の支障がある場合 ②業務上の秘密が漏洩する場合 ③競業により自社の利益が害される場合 ④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合 が認められている。

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2026年8月27日に原文で確認)

禁止できる場合中身自分の副業は当たるか
① 労務提供上の支障長時間労働で本業に支障が出る深夜まで働いていないか
② 業務上の秘密の漏洩本業で知った情報が外に出る顧客情報や技術に触れていないか
③ 競業により自社の利益が害される同業で会社の客を取る本業と同じ市場で戦っていないか
④ 名誉・信用の毀損、信頼関係の破壊会社の評判を落とす会社を特定できる形で発信していないか

裏を返すと、この4つのどれにも当たらない副業は、原則として止められないということになります。

③については、ガイドラインがさらに踏み込んでいます。

競業避止義務は、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないことを内容とする義務であり、使用者は、労働者の自らの事業場における業務の内容や副業・兼業の内容等に鑑み、その正当な利益が侵害されない場合には、同一の業種・職種であっても、副業・兼業を認めるべき場合も考えられる。

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2026年8月27日に原文で確認)

同じ業種でも、会社の正当な利益を侵さないなら認めるべき場合がある。「同業だからダメ」で一律に切る運用は、ここと合いません。


規則に触れただけでは、懲戒処分は認められていません

ここが一番知られていない部分だと思います。届出や許可の手続に違反した場合について、ガイドラインはこう書いています。

就業規則において労働者が副業・兼業を行う際に許可等の手続を求め、これへの違反を懲戒事由としている場合において、形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障を生ぜしめない程度・態様のものは、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていない。

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2026年8月27日に原文で確認)

「規則違反だから処分」が通らない、という整理です。職場の秩序に影響したか、本業の労務提供に支障が出たか。そこを実質的に見る、ということです。

この考え方は、労働契約法15条の条文とも噛み合っています。

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

労働契約法 第15条(e-Gov法令検索 2026年8月27日確認)

解雇についても16条に同じ構造の規定があります。合理的な理由と社会通念上の相当性、この2つが揃わないと無効です。

「認められにくい」であって「絶対に処分されない」ではありません。実際に争えば時間も費用もかかります。処分の可否と、揉めずに済ませることは別の話です。


モデル就業規則は、すでに「できる」と書いています

厚生労働省が公開しているモデル就業規則の条文が、ガイドラインの中で引用されています。

労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

厚生労働省 モデル就業規則(「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より。2026年8月27日に原文で確認)

いまのひな形は、できると書いてあります。禁止と書かれていません。会社の就業規則が「許可なく他社の業務に従事しない」のままなら、それは古い版を写したまま更新していない可能性があります。

もうひとつ、相談したこと自体を理由にした扱いについても書かれています。

副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできない。

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2026年8月27日に原文で確認)

聞いただけで評価を下げられる、という扱いは認められません。


規則を変えてもらうより、副業を前提にした会社へ移るほうが早いこともある。リモート求人に特化したエージェントなら、面談のときに副業の可否を先に聞ける。

会社側にも義務があります

副業を認める側にも条文上の義務が生じます。労働契約法5条です。

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働契約法 第5条(e-Gov法令検索 2026年8月27日確認)

ガイドラインは「副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が安全配慮義務を負っている」としています。本業の会社も、副業先も、両方が負うということです。

会社が届出を求めるのは、監視のためだけではありません。労働時間を把握していないと、この義務を果たせない構造になっています。届出制そのものは、ガイドラインも否定していません。


規則を読んで白だと分かっても、上司にどう伝えるかは別の問題として残る。辞めるか、続けたまま広げるか。ここで詰まる人は多い。体験面談は無料で受けられる。

自分の会社の規則は、どこを見るか

就業規則を手に入れる

労働基準法106条で、会社には周知義務があります。見せてもらえない状態自体が問題です

副業の条項を探す

「兼業」「二重就職」「他の会社等の業務」あたりの語で書かれています

禁止か、許可制か、届出制かを見分ける

全面禁止と届出制ではまったく重さが違います

4類型に当たるかを自分で点検する

労務提供上の支障・秘密漏洩・競業・信用毀損。どれにも当たらないなら原則は自由の側です

届出制なら、素直に出す

隠して揉めるより早いです。相談したことを理由にした不利益扱いは認められていません

常時10人以上を使用する会社には、就業規則の作成と届出の義務があります(労働基準法89条)。表彰と制裁の定めを置く場合は、その種類と程度を書かなければならないとされています。懲戒の種類が書かれていない規則で、いきなり重い処分をするのは筋が通りません。

就業規則に「副業禁止」と書いてあれば、やはり違法になりますか

就業規則違反は法律違反とは別です。そして厚生労働省のガイドラインは、裁判例が禁止を認めたのは4類型に限られるとしています。形式的な抵触だけでは懲戒処分は認められていません。

公務員でも同じですか

違います。国家公務員法と地方公務員法に営利企業への従事制限の規定があり、民間とは枠組みが別です。この記事の内容は民間の労働者を前提にしています。

許可制の会社で、申請したら断られました

断る理由が4類型のどれに当たるのかを確認するのが先です。理由を示せない一律の不許可は、ガイドラインの求める運用と合いません。

会社に相談したら評価を下げられそうで怖いです

ガイドラインは「副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできない」と明記しています。

同じ業種の副業は必ずだめですか

ガイドラインは、正当な利益が侵害されない場合には同一の業種・職種であっても認めるべき場合があるとしています。一律にだめとは書かれていません。

就業規則が見当たりません

労働基準法106条で周知義務があります。掲示、備え付け、書面交付などの方法が定められています。会社に請求できます。


4つに当たらなければ、禁止規定だけを理由に処分するのは難しいというのが裁判例の流れです。ただし当たってしまう働き方なら、副業を変えるか、勤め先を変えるかになります

副業を認めている会社は増えています。就業規則で詰まっているなら、そこを条件にして探すこともできます。

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この記事で見た条文と資料

ガイドラインはPDFの本文を取り出して読みました。条文は2026年8月27日にe-Gov法令検索で確認しています。要約記事を経由せず、原文だけを引いています。

会社員のときに副業をしていたので、最初にこの資料を読みました。禁止と書いてあっても、何が禁止されているのかは読まないと分かりません。

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この記事を書いた人

会社員の頃から副業を始めて5年で副業でのトータル収益1,000万円以上。大きく稼ぐより、コツコツ安定して副業収益を作ることが得意。最初はFXで200万円マイナスを出した経験、会社の代表8年目の財務、税金関係の経験をブログにして書いていきます。

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