スクールをやめたら、いくら戻るのか。申し込む前に見る場所は決まっています。3か所です。
僕は40万円のスクールで何も残らず、そのあと84万円の講座で38万円を取り戻しました。違ったのは先に調べたかどうかだけです。何を調べればよかったのかを、条文から整理しました。
返金には、法律が効く契約と効かない契約がある
まず分かれ道から。特定商取引法に「特定継続的役務提供」という区分があります。ここに当たるとどうなるか?契約書に違約金が書いてあっても、法律の上限を超えて請求できません。
当たらなければ、返金は契約書に書いてあるとおりです。法律は助けてくれません。ここが分かれ目です。
対象になるのは、政令で決まった7つの役務だけ
施行令の別表第四に、7つ並んでいます。スクールに関係するのはこの3つです。
| 役務 | 期間の条件 | 解約時の上限(提供開始後) | 提供開始前 |
|---|---|---|---|
| 電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授 | 2か月を超える | 5万円または契約残額の20%のいずれか低い額 | 15,000円 |
| 語学の教授 | 2か月を超える | 5万円または契約残額の20%のいずれか低い額 | 15,000円 |
| 学力の教授(学習塾) | 2か月を超える | 2万円または1か月分の対価のいずれか低い額 | 11,000円 |
金額の条件もあります。支払う金銭が5万円を超えること(施行令24条2項)。つまり「2か月を超える期間」と「5万円を超える金額」の両方を満たしてはじめて、法律の枠に入ります。
プログラミングやWebデザインは当たるのか
条文の言葉は「電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授」です。パソコン教室を想定した書き方になっています。
プログラミングやWebデザインの講座がここに当たるかは、講座の中身と契約の形で変わります。断定できる資料は見つけられませんでした。ただ、確かめる方法はあります。
法律が効く場合、いくらまで請求されるか
特商法49条2項が上限を決めています。「損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても」という書き方で、契約書の定めより法律が優先します。
受講を始めたあとにやめる場合
- すでに提供された役務の対価に相当する額
- + 5万円 または 契約残額の20% のいずれか低い額(電子計算機の操作の教授の場合)
たとえば30万円・6か月の講座を2か月で解約したとします。受けた2か月分が10万円なら、契約残額は20万円。その20%は4万円で、5万円より低いのでこちらが上限です。請求できるのは10万円+4万円まで。30万円のうち16万円は戻る計算になります。
受講を始める前にやめる場合
15,000円が上限です(電子計算機の操作の教授)。「入金後は一切返金しません」と契約書に書いてあっても、法律が効く契約なら通りません。
契約書で見る3か所
法律が効かない契約なら、書いてあることが全部です。申し込む前に、この3か所だけ探してください。
1か所目 解約。やめる手順が書いてあるか
- どこへ、どうやって伝えるか(書面か、フォームか、メールか)
- いつ効力が生じるか(発信したときか、届いたときか)
- 受付を止める期間があるか
手順が書いていない契約書は、やめさせる気が無いということです。空欄なら、それだけで答えになります。
2か所目 返金。いくら戻るか、何が戻らないか
- 返金の計算式(月割りか、日割りか、受講した回数か)
- 戻らないもの(入会金、教材費、ソフト代、決済手数料)
- 分割払いの残債はどうなるか
「入会金は返金しません」は、よく書いてあります。総額のうち入会金がいくらかを先に見てください。受講料が安くて入会金が高い構成だと、戻る額が小さくなります。
3か所目 修了条件。補助金は修了で決まる
リスキリング補助金は「講座の受講を終了した場合」に出ます。修了できなければ、補助は出ません。
- 課題の提出期限と、提出率の条件
- 受講期間の延長ができるか、できるとしたら費用はいくらか
- 修了証明書が出る条件
- 生成AIスクール2校、月額16,280円と料金非公開
- 安いプログラミングスクール2校、49,800円と55万円の差
- デイトラWebデザイン、129,800円の中身を公式だけで数えた
僕が38万円を取り戻せたのは、ここを先に読んで、修了できる日程かどうかを確かめたからです。1回目のときは読んでいませんでした。
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申し込む前に、この表を埋める
3か所を探して、空欄が残ったらその場で聞く。埋まらないまま申し込まないことです。
| 確認すること | どこに書いてあるか | 自分の契約では |
|---|---|---|
| 特定商取引法に基づく表示に、中途解約の記載があるか | 公式サイトの表示ページ | |
| 解約の伝え方(書面/フォーム/メール) | 契約書の解約条項 | |
| 返金の計算式(月割り/日割り/回数) | 契約書の返金条項 | |
| 戻らないもの(入会金・教材費・ソフト代) | 契約書の返金条項 | |
| 分割払いの残債の扱い | 契約書+信販会社の契約 | |
| 修了の条件(課題の提出率・期限) | 契約書または受講規約 | |
| 受講期間を延長できるか、費用はいくらか | 契約書または受講規約 | |
| 添削の回数(無制限なら返信までの日数) | 説明会で聞く | |
| 修了者のうち何人がどうなったか | 説明会で聞く |
10行あります。全部が埋まるスクールは、まず無い。埋まらなかった行が、そのスクールの弱いところです。数が多いか少ないかで比べてください。
この5つに数字で答えられる学校は、実際そう多くない。逆に言えば、1校でも答えが返ってくれば基準ができる。まず無料のカウンセリングを1つ入れて、聞いてみるのが早い。
説明会では、数字で答えが返る質問だけする
無料説明会に行くなら、数字で返ってくる質問を用意してください。「サポートは手厚いですか」には、どのスクールも「はい」と答えます。
| 聞く | 数字で返ってくるか |
|---|---|
| 添削は何回までですか | ◎ 回数。無制限なら「返信までの平均日数は何日か」 |
| 途中でやめたらいくら戻りますか | ◎ 金額か計算式。契約書のどこに書いてあるかも聞く |
| 修了した人のうち何人が転職しましたか | ◎ 人数と分母。答えられないスクールもある |
| サポートは手厚いですか | × 全社が「はい」と答える |
| 未経験でも大丈夫ですか | × 同上 |
3つとも数字で返ってきたら、その場で決めない。契約書を送ってもらって、上の3か所を読んでから決めます。説明会の場で割引が出たら? それは持ち帰らせたくないということです。
よくある質問
- クーリング・オフはできますか
-
特定継続的役務提供に当たる契約なら、法定書面を受け取った日から8日以内は無条件で解除できます(特商法48条)。8日を過ぎたあとは、49条の中途解約になります。対象外の契約には、この制度自体がありません。
- オンライン完結のスクールでも対象ですか
-
特定継続的役務提供の判定は、提供方法とは関係なく役務の種類・期間・金額で決まります。オンラインだから対象外ということはありません。
- 契約書をもらえないと言われました
-
特定継続的役務提供に当たる事業者には、契約時に書面を交付する義務があります(特商法42条)。もらえないなら、その時点で申し込まないほうがいいです。
- 分割払いの残りはどうなりますか
-
解約しても信販会社との契約は自動では終わりません。スクールへの解約とは別に、信販会社への手続きが要ります。契約書の該当箇所を先に読んでください。
- 補助金を受けた講座を途中でやめたら
-
補助は「受講を終了した場合」に出るので、修了できなければ受けられません。すでに値引き後の価格で申し込んでいる場合の精算は、補助事業者との契約によります。
この記事で確認した資料
特商法は2026年8月12日施行、施行令は2026年6月1日施行のものを2026年9月5日に確認しました。金額はすべて施行令別表第四によります。制度は変わります。実際の契約の判断は消費生活センター(消費者ホットライン188)か弁護士へ。
次に読むもの
- Webデザインスクール5校の総額。補助金で実質いくらになるか
- 同じ40万円を2回払った。残らなかった学校と仕事になった学校
- 80万円のデザインスクールを実質40万円にした話。リスキリング補助金の中身
- リスキリング補助金と教育訓練給付の違い。戻る額を1つの表で
契約書の3か所と、説明会で聞く3つ。合わせて6つを埋めてから決めれば、1回目の僕と同じことにはなりません。
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