役員社宅の家具は家賃と別枠。会社が買うと給与課税されます

役員社宅の家具は家賃と別枠。会社が買うと給与課税されます

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役員社宅を作ったら、家具や家電も会社で買って置きたくなります。冷蔵庫、洗濯機、エアコン、カーテン。これは家賃の中に含まれるのでしょうか?

国税庁の質疑応答事例に、はっきり書いてありました。別です。そして課税されます。

この記事は国税庁の質疑応答事例(令和7年8月1日現在の法令・通達等)、タックスアンサーNo.2600、所得税基本通達、国税不服審判所の公表裁決を原文で読んで書いています。個別の判断は税理士に確認してください。

目次

家具は「区分して評価する」と国税庁が書いている

質疑応答事例「社員に家具等を貸与した場合の経済的利益」の回答です。

自社所有又はリースによる家具等を役員又は使用人に貸与する場合の経済的利益については、社宅の賃貸料相当額の計算とは原則として区分して評価することとなります。

国税庁 質疑応答事例「社員に家具等を貸与した場合の経済的利益」(令和7年8月1日現在の法令・通達等)

賃貸料相当額に含めて済ませることはできません。家具は家具で別に金額を出して、役員から受け取るか給与課税するかを決めます。

いくらになるのか。2通りある

家具の持ち方経済的利益の額
自社で買った定額法で計算した減価償却費相当額に、維持管理のために通常要する費用相当額を加算するなどの方法で、合理的に見積もった額
リースで借りたリース料相当額

根拠は所得税法36条1項・2項です。リースのほうが金額の根拠がはっきりします。請求書の額がそのまま答えになるからです。

自社で買うと「合理的に見積もった額」を自分で作ることになります。耐用年数を何年で見たか、維持管理費をいくら足したか。あとから説明できる形で残しておいてください。

実際に否認された事例を、裁決の原文で読む

国税不服審判所の公表裁決に、この論点そのものの事案があります(平21.10.28、裁決事例集No.78 237頁)。宗教法人の事案で、マイクロ法人の話ではありません。それでも見ているところは同じです。

法人所有のマンションを代表者に貸与し、中に家具・カーテン・食器を置いていました。法人は「宗教活動用で、代表者に貸したものではない」と主張しています。

審判所は代表者の住まいだと認定しました。金額の出し方もこう示しています。第三者への貸与実績がないので、物品賃貸業者と同じように、取得価額と法定耐用年数を基礎に算定するのが合理的。上の質疑応答事例と同じ考え方です。

法人は「カーテン・じゅうたん・照明器具は建物の一部だから、賃貸料に含まれる」と主張しましたが、採用されていません。建具に見えるものでも、別枠で見られます。

何が決め手になったか

審判所が「個人の住まい」と判断した根拠は8つありました。そのうち2つが具体的すぎて、参考になります。

  1. 電気・ガス・水道の契約が代表者個人名義で、料金も個人が支払っていた
  2. 食器の購入先へ「商品は代表者の自宅で使用するが、支払は法人が行う」とメールを送っていた

2つめで決まったようなものです。メール1通が証拠になりました。結末は一部取消し。金額は減りました。ただ、課税されること自体は覆っていません。

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光熱費はどうなるか

ここは正直に書きます。No.2600は光熱費に触れていません。賃貸料相当額、つまり家賃の話だけです。

近いところにあるのが所得税基本通達9-9で、完全に非課税になる家屋を挙げています。船舶乗組員の船室、常時交替制の早朝深夜勤務者、看護師・守衛、住み込みの使用人、季節労働者、鉱山勤務者、工場寄宿舎。

役員社宅はここに入っていません。だから家賃はNo.2600の賃貸料相当額を払う必要があり、光熱費も「職務上欠くことのできないもの」には当たりにくい、という並びになります。

上の裁決では、光熱費の契約が個人名義だったことが「個人の住まい」の根拠に使われました。会社が負担すれば社宅の証拠になる、という単純な話ではありません。むしろ会社が払うなら、その分の課税を考えることになります。

業務用のスペースと居住スペースを分けて按分する考え方もあります。ただしその按分に決まった率はありません。面積か使用時間で説明できる形にしておくしかない、というのが現実です。

家具と光熱費は、置き方ひとつで給与課税に変わる。裁決まで行った事例があるということは、税務調査で実際に見られている箇所ということ。買う前に確かめておきたい。

置く前に決めておく3つ

家具はリースにするか、自社で買うか

リースなら請求書の額がそのまま経済的利益の額になります。自社所有なら耐用年数と維持管理費を自分で見積もることになります

役員から徴収するか、給与課税を受け入れるか

家賃と同じで、相当額を受け取っていれば課税されません。受け取らないなら、その分が給与になります

光熱費の契約名義を決める

個人名義にするか法人名義にするか。裁決では名義が判断材料に使われています

家具を会社で買うこと自体は問題ありません。課税の扱いを決めずに置いてしまうのが問題です。

よくある質問

エアコンや照明も家具に入りますか

裁決では、法人が「カーテン・じゅうたん・照明器具は建物の一部」と主張しましたが採用されませんでした。建物と一体でない備品は、別に評価される前提で考えてください。

家具を役員が自分で買えばいいですか

会社が負担しなければ、そもそも経済的利益が発生しません。金額が小さいものは、そのほうが手間が少ないこともあります。

中古の家具でも同じですか

自社所有なら定額法の減価償却費相当額を基礎にします。取得価額が小さければ、経済的利益の額も小さくなります。

社宅の家賃はどう計算しますか

No.2600の賃貸料相当額です。小規模な住宅なら固定資産税の課税標準額から計算します。家具とは別枠です。

駐車場代は経費になりますか

No.2600に定めがありません。ここは確認できていないので、業務用と居住用の切り分けを税理士に相談してください。


この記事で確認した資料

質疑応答事例は令和7年8月1日現在、No.2600は令和7年4月1日現在の法令等。2026年9月5日に原文を確認しました。制度は変わります。

次に読むもの

家具の見積もりも光熱費の按分も、あとから説明できる形にしておくのが全部です。決算のときに一緒に見てもらう相手を決めておくと、毎年の手間が減ります。

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この記事を書いた人

会社員の頃から副業を始めて5年で副業でのトータル収益1,000万円以上。大きく稼ぐより、コツコツ安定して副業収益を作ることが得意。最初はFXで200万円マイナスを出した経験、会社の代表8年目の財務、税金関係の経験をブログにして書いていきます。

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