執筆・監修:ちゃんみ(元・採用責任者。新卒・中途あわせて約500人を書類から最終面接まで担当/法人代表7年/確定申告8年)。この記事の数字と制度は、公式資料を原文で確認した日付つきで書いています。
バーチャルオフィスの比較記事は、月額の安い順に並んでいるものが多い。法人代表7年、登記の書類を自分で書いて法務局に出した僕は、先に別のところを見る。その住所で、登記・銀行口座・許認可・郵便がどう扱われるか。今回の2社の月額差は年に約16,000円。この4つで詰まったときの損のほうが、ずっと大きい。
会社員時代に副業を始めて、辞めて、自分の会社を作った。そのとき定款を先に作ってしまい、再就職手当の受給要件を崩した。手続きには順番がある。登記も同じで、住所の契約が先、登記はあと。しかも登記が済むと、税務署・年金事務所・銀行からの書類が全部その住所に届き始める。住所選びは、郵便の受け取り方選びでもあった。
この記事では、うちが提携しているバーチャルオフィス2社(バーチャルオフィス1・デジラボ)の料金と条件を、公式サイトの記載だけで並べました。順位は付けていません。借りたい場所も使い方も、人によって違うからです。銀行口座が開けるか、許認可が取れるかも断定しない。公式の文言を引くところまで。各社の情報は2026年9月1日に公式サイトで確認した。
| サービス | 拠点(住所) | 月額(税込) | 初年度の総額 | 法人登記 | 公式 |
|---|---|---|---|---|---|
| バーチャルオフィス1 | 渋谷・神保町・広島の3店 | 880円(年間契約・一括10,560円) | 16,060円+郵送費の実費 | 追加料金なし | 公式サイト |
| デジラボ | 松戸駅西口 徒歩3分 | 月額換算2,220円(年払い26,400円) | 28,600円+転送の実費 | 追加料金なし | 公式サイト |
※ 広告を含みます。料金・条件は各社の公式サイトの記載(2026年9月1日確認)で、時期により変わります。初年度総額は、公式に記載のある入会金・初期費用と基本料金12か月分を足した僕の計算です(式は本文)。郵便の転送費用は別途実費がかかります。
月額より先に見る4つ。登記・銀行口座・許認可・郵便
2社とも法人登記は追加料金なし。ならどこで差が出るのか? 月額の差で困った人の話を、僕は聞いたことがない。手が止まるのは、次の4つのどれか。
① 法人登記 — 契約が先、登記はあと
両社とも「法人登記に使える。追加料金なし」と公式に書いています。ただ、順番が決まっている。バーチャルオフィス1のよくある質問には「契約前に無断で住所を利用することは厳禁です(刑法第157条に該当する可能性もあります)」とまである。新しく会社を作る場合は、個人として契約→その住所で法務局に設立登記→登記簿を取って法人契約へ無料で切替、という流れが7ステップで公式に載っています。
デジラボも、法人設立予定の人は個人事業主フォームから申し込んで備考欄に「法人設立予定」と書く方式。定款や登記申請書には本店所在地を書く欄がある。住所が決まっていなかったら? 設立の書類は1枚も完成しない。僕はこの手の順番を軽く見て、定款を先に作り再就職手当を取りこぼした。手続きの順番を最初から全部見せてくれる会社は、初めて登記する人の味方だと思う。
② 銀行口座 — 2社の書き方は正反対
開けるかどうか、ここでは断定しません。公式の記載だけ並べます。
- バーチャルオフィス1 — 「法人口座開設保証®」。所定のルールに沿って手続きしても開設できず退会する場合、入会金と基本料金が返金対象(郵便転送費用等は対象外。利用を断るケースもあり)。「多くの銀行がバーチャルオフィスを利用していても開設可能と明言しています」との記載もある
- デジラボ — 「銀行口座開設を保証するものではありません。事業計画書など、事業内容を説明できる資料の準備も重要です」と明記
保証制度を作った会社と、保証しないと明言した会社。書き方は逆でも、前提は同じに読める。決めるのは銀行の審査で、住所はその一要素。バーチャルオフィス1の保証も、開けなかったときに退会すれば入会金と基本料金が返る制度であって、口座そのものを約束する仕組みとは違う。ここを読み違えないように。
③ 許認可 — 使えない業種が最初から列挙されている
バーチャルオフィス1は「許認可の都合上バーチャルオフィスを利用できない業種」として、税理士・弁護士・司法書士・行政書士・古物商・有料職業紹介業・人材派遣業・宅地建物取引業・金融商品取引業・産業廃棄物収集運搬業の10業種を挙げています。それ以外の業種でも許認可が取れる保証はしていない、監督官庁に確認した上で契約を、という念押し付き。デジラボは、投資・融資など金融に関わる事業を契約できない用途に入れています。
許認可が要る商売を考えているなら、順番はどうなるか? 契約より先に、監督官庁への確認。ここで断定できることは何もない。
④ 郵便 — 登記した瞬間から、書類は全部そこに届く
法人を7年やって何が変わったか? 届く郵便の量です。税務署、都道府県税、年金事務所、銀行。個人のころの比ではない。受け取り損ねていい書類は、ほぼ無い。2社とも郵便の扱いはかなり細かく公式に書いてあります。
- バーチャルオフィス1 — 月4回転送で転送作業料0円(郵送費は実費。50gまで150円〜500gまで600円、それ以上は宅急便)。LINE通知・DM破棄・簡易書留の代理サインが無料。本人限定受取郵便は不在票を受け取ってLINEで連絡。店舗引き取りは営業時間内なら無料(事前連絡制)
- デジラボ — 到着をLINEで画像付き通知。店頭引き取りは無料、転送は実費。実名・屋号・社名以外の宛名は事前連絡が必要で、連絡の無い宛名の郵便物は7日間保管後に郵便局へ返却。着払い・代金引換は事前に代金を預けた場合のみ受領
2社を読み比べて感じた差は、値段より「どこまで書いてあるか」。書いていない項目は、申し込む前に問い合わせて埋めるのが確実だ。
2社の料金と中身。公式サイトで確認できたことだけ
先に初年度の総額。公式に載っている項目だけを足した。郵送費は使う量で変わるので、外に置いた。
| 項目 | バーチャルオフィス1(年間契約) | デジラボ(年払い) |
|---|---|---|
| 入会金・初期費用 | 5,500円(初年度のみ) | 2,200円 |
| 基本料金(12か月分) | 10,560円(880円×12・一括払い) | 26,400円 |
| 保証金 | 0円 | 記載なし |
| 初年度の合計 | 16,060円 | 28,600円 |
| 2年目以降(年) | 10,560円 | 26,400円 |
| 郵便の転送費 | 実費(50gまで150円〜) | 実費(店頭引き取りは無料) |
式にすると、バーチャルオフィス1は 5,500円+880円×12か月=16,060円。公式の見積もりフォームの表示とも一致した。デジラボは 2,200円+26,400円=28,600円で、半年払いを選ぶと 2,200円+16,500円×2=35,200円になる。バーチャルオフィス1には単月契約(月3,960円)もあり、12か月続けると 5,500円+3,960円×12=53,020円。年間契約の3.3倍? そう、3.3倍。1年使うと決めているなら、比べるのは年間契約の数字。
1社ずつ、料金・できること・注意点・向いている人・4項目の点数を並べる。点数は公式サイトの記載を元にした僕の採点で、利用した感想とは別物。書いてあれば高く、書いていなければ低い。ボタンの先は各社の公式サイト(広告リンク)です。
バーチャルオフィス1|月額880円・渋谷/神保町/広島
株式会社ナレッジソサエティ(2010年設立・東京都千代田区)が運営。年間契約は月額880円+郵送費用のワンプランで、住所利用・法人登記・月4回の郵便転送・LINE通知・店舗受取・簡易書留の代理サイン・DM破棄・法人口座開設保証®まで基本料金に含むと公式に明記しています。拠点は渋谷(道玄坂)・神保町・広島の3店で、番地までの住所が公式サイトに載っている。
- 初年度の総額16,060円が公式の見積もり表で確認できる(入会金5,500円+基本料金10,560円)
- 法人登記は追加料金なし。法人成り時の契約切替も無料と記載
- 郵便は月4回転送・転送作業料0円。代理サイン無料、本人限定郵便は不在票をLINEで連絡
- 口座を開けずに退会する場合、入会金と基本料金が返金対象になる保証制度(所定のルールあり)
こんな人に向く:東京か広島の住所で登記して、郵便対応まで基本料金内で済ませたい人。運営者情報に自宅を書きたくないWeb系フリーランス
料金:年間契約 月額880円(一括10,560円)+郵送費用、入会金5,500円。単月契約は月3,960円。初年度合計16,060円+郵送費(公式サイトの記載と僕の計算)
| 料金の明確さ | ★★★★★ 5.0 |
|---|---|
| 登記・郵便の対応 | ★★★★★ 5.0 |
| 解約・最低期間の記載 | ★★★☆☆ 3.0 |
| 情報の透明さ | ★★★★★ 5.0 |
採点で迷ったのは解約の項目だ。途中解約に応じない、と書いてあること自体は隠していない。では何が見当たらないか? 解約手続きの方法や期限の説明で、今回読んだ範囲には無かった。年間一括で払う契約だからこそ、ここは申し込み画面で必ず確かめてほしい。登記と郵便まわりの記載の細かさは、この記事を書くために読んだページのなかで一番だった。
デジラボ|月額換算2,220円〜・松戸駅西口徒歩3分
株式会社Tree Frog(千葉県松戸市)が運営する、コワーキングスペース併設のバーチャルオフィス。年払い26,400円(月額換算2,220円)か半年払い16,500円(同2,750円)で、初期費用2,200円。法人登記は追加料金なし。郵便物が届くとLINEで画像付きの通知が来て、店頭引き取りは無料。営業時間中はスタッフが常駐し、仕事場・会議室を400円から使えます。
- コワーキング併設で、作業スペースや会議室を400円から使える
- 法人登記に追加料金がかからないと明記。設立予定の段階でも申し込める
- 郵便はLINEで画像付き通知。店頭引き取り無料、転送は実費
- 解約・返金の条件が特定商取引法のページに明記(退会は申込月の翌月末)
こんな人に向く:松戸・千葉方面で登記用の住所を持ちたい人。住所と一緒に、たまに使える仕事場や打ち合わせ場所も欲しい人
料金:年払い26,400円(月額換算2,220円)/半年払い16,500円(月額換算2,750円)+初期費用2,200円。すべて税込。初年度合計28,600円+転送実費(公式サイトの記載と僕の計算)
| 料金の明確さ | ★★★★☆ 4.0 |
|---|---|
| 登記・郵便の対応 | ★★★★☆ 4.0 |
| 解約・最低期間の記載 | ★★★★★ 5.0 |
| 情報の透明さ | ★★★★☆ 4.0 |
Web制作6年目の僕が、取引先と契約するとき最初に読むのは解約条項だ。デジラボは退会日と返金の条件が特定商取引法のページにはっきり書いてある。地味だが、前払いする側にとってこの1枚の価値は大きい。口座を保証しないと先に言う姿勢も同じで、書けないことを書かない会社だと読んだ。
申し込む前に見る5つ
説明会も無料相談も無いサービスなので、確認は自分でやることになる。見るのはこの5つで足りる。
- 初年度の総額を式で出せるか — 入会金・保証金・基本料金12か月分。この足し算が公式ページだけで組めるかをまず見る
- 法人登記が基本料金に入っているか — 格安の基本料金では登記できないプランもあると、バーチャルオフィス1自身が注意を載せている
- 契約の前に住所を使っていないか — 名刺もサイトも登記も、契約成立が先。無断利用は厳禁と公式に明記されている
- 郵便のルール — 宛名の縛り、受け取れないもの、転送の頻度と実費。ペンネームや屋号で受け取るなら事前連絡の要否も
- 解約の条件 — 途中解約に応じない旨の明記(バーチャルオフィス1)、満了前の返金なし(デジラボ)。読むのは申し込む前の今
住所を借りるのは、法人を作る手前の一手でしかない。設立の費用と、そのあと毎月かかる税務の顧問料まで並べて初めて総額が出る。見積もりを取るだけなら費用はかからない。
目的別に選ぶなら
順位は付けないと書いた。目的が決まれば、2社の分かれ方は単純。あなたはどこで登記したいか?
- 渋谷・神保町・広島の住所で登記したい。郵便対応も基本料金内で → バーチャルオフィス1
- 初年度の出費をいちばん抑えたい(16,060円+郵送費) → バーチャルオフィス1
- 松戸・千葉方面で、住所と一緒に仕事場・会議室も使いたい → デジラボ
- 郵便を引き取りに行ける実店舗と、常駐スタッフの安心感が欲しい → デジラボ
住所が決まったあとの手続きも、先に置いておきます。個人で始めるなら開業届と青色申告の期限。法人の申告を誰がやるかは税理士に頼むか自分でやるかに確定申告8年分の実感を書きました。売上が立ってきたらインボイスの登録判断も、そのうち来る。
よくある質問
- 本当に法人登記に使えますか
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2社とも「法人登記に使える。追加料金なし」と公式に明記している。バーチャルオフィス1は新規設立の手順(個人で契約→その住所で設立登記→法人契約へ切替)まで公式に載せています。デジラボは、法人設立予定の人は個人事業主フォームから申し込んで備考欄にその旨を書く方式。
- 法人の銀行口座は開けますか
-
この記事では断定しない。バーチャルオフィス1には、所定のルールで手続きしても開けずに退会する場合に入会金と基本料金が返金対象になる保証制度がある。デジラボは口座開設を保証しないと明記し、事業計画書など事業内容を説明できる資料の準備を勧めています。最後に決めるのは銀行の審査だ。
- ネットショップの特定商取引法の表記に使えますか
-
法律の判断はこの記事ではしません。バーチャルオフィス1は消費者庁の逐条解説を出典に、バーチャルオフィスの住所・電話番号を表示する場合は運営事業者との合意や確実に連絡が取れる体制などが必要とされている、という趣旨の説明を載せています。自分の販売形態で足りるかは、消費者庁の資料か専門家で確認を。
- 住民票や免許証の住所にできますか
-
できない。バーチャルオフィス1は「住民登録の住所として利用することはできません」、デジラボは住民票・パスポート・免許証等の公的申請への利用を契約できない用途に挙げています。事業用の住所と生活の住所は別物だ。
- 途中でやめたら返金されますか
-
戻らない前提で申し込む。バーチャルオフィス1は「いかなる理由においても途中解約については応じておりません」、デジラボは「契約期間満了前の退会であってもご返金は出来ません」(退会日は申込月の翌月末)とそれぞれ書いています。
- 審査で断られる業種はありますか
-
あります。両社とも情報商材・ネットワークビジネス・アダルト・ギャンブル・出会い系などを入会NGに明記。バーチャルオフィス1はナイトワークや探偵業なども列挙し、代表者や関係者が該当すると類推できる場合も含むとしています。デジラボはスピリチュアル・占い、投資・融資などの金融事業も契約不可の用途に挙げている。
まとめ
月額880円か、月額換算2,220円か。その手前に、登記・銀行口座・許認可・郵便の4つをどう扱う会社かを見る。ここさえ押さえれば、2社で迷う時間は短い。
- 初年度総額はバーチャルオフィス1が16,060円、デジラボが28,600円(+郵送実費。公式記載の項目だけの僕の計算)
- 法人登記はどちらも追加料金なし。契約成立が先で、登記はあと
- 銀行口座は断定できない。返金つき保証制度のバーチャルオフィス1、保証しないと明記のデジラボ
- 許認可が要る業種は監督官庁への確認が先。利用できない10業種をバーチャルオフィス1は列挙している
- 途中解約の返金は2社とも期待しない。解約条件を読むのは申し込む前
※ 広告を含みます。料金・条件は各社の公式サイトの記載(2026年9月1日確認)で、変わることがあります。初年度総額は公式記載の項目を足した僕の計算。この記事は銀行口座の開設や許認可の取得を約束しません。各社公式サイトの記載の引用にとどめています。僕の体験談は自分の法人設立・運営の経験によるもので、この2社を利用した経験は含みません。
この記事で確認した資料
バーチャルオフィス1の情報は、公式サイトのトップページ(料金プラン・サービス・よくある質問・入会NG業種)と会社概要ページで2026年9月1日に確認しました。運営は株式会社ナレッジソサエティ(東京都千代田区九段南・2010年4月設立)。「法人口座開設保証」は同社の登録商標です(登録第6225089号)。デジラボの情報は、公式サイトのバーチャルオフィス紹介ページと特定商取引法に基づく表記のページで同日に確認。運営は株式会社Tree Frog(千葉県松戸市本町)。
